Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    e_n_s_a_n

    @e_n_s_a_n

    尻叩き

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 8

    e_n_s_a_n

    ☆quiet follow

    画像読み込めない人向け
    設置しておくと良いって文庫ページメーカーさんが言ってた

    #ウタ平

    ウタ平 俺は今、会社の飲み会でキャバクラにいた。
     性に合わないので、こういう場所は得意ではない。
     派手な格好の女達を持て囃すだけの場に価値を見出せずにいた。
     なのにどうしてこんなところに俺はいる?
     答えは簡単、上司の言うことは絶対だからだ。
    「全然飲んでないじゃん、ほらもっと飲みなさい。今日は私の奢りなんだから」
    「はあ……」
     酒に弱い事を知ってか知らずか、飲めや歌えやと俺のペースを乱した。
     明日は休日なのだから、早く家に帰って寝たい。それだけが今の願いだ。
    「平子くんどうしたの」
     帰りたい気持ちが態度に表れていたのか、不意に席を立つ。
    「あー……ちょっとトイレ、行ってきます」
     煮え切らない返事をして、手洗いに向かった。
     
     特に出すものもなく、適当に個室で時間を過ごし鍵を開けて出ようとする。
    「っわ」
    「びっくりした?」
     そこには、何故かウタがいたのだ。
    「何でこんなところにいるんだ……さてはストーカー……?」
    「違う違う。取引先の付き合いでね」
     案外同じような理由だった事にまた驚く。
    「平子さんたちは団体さんだね……知り合い?」
    「まあ、今の職場の上司だな」
    「楽しくなさそうだね」
     その声は、少し弾んでいた。
    「そんな事はない。庶民が滅多に行けない所に連れて行ってくれるんだ、感謝しないと」
     事実を述べたまでだった。
     俺は手を洗い、その場を後にする。
    「あっそ」
     やや冷たい彼の声が、やけに耳にこびりついていた。
     
    「平子くん大丈夫? 遅かったみたいだけど」
    「全然、平気です」
     なら良いんだけど。と、上部だけの心配をして、上司はまた女と戯れながら高い酒を注文した。
     元気だな、と横目で見ながら注がれていた酒を煽った。
     その時。
     携帯にメッセージが入る。
     相手は、ウタだった。
    『出ておいで』
     とだけ書かれているだけなのに、鼓動が高鳴る。
     度数の高い酒だったからだろうか、それとも――。
     ガタン、と音を立て席を立つ。
    「平子くん、本当に大丈夫? 顔も赤いし……」
    「……っ、今日は、失礼します。あんま、体調良くないみたいで」
     適当に札を出して、その場を後にする。
     ずっと鼓動は早いままだった。
     
     店の外に出ると、大粒の雨が降っている。
     そこに、ビニール傘を持って微笑む長身の男がいた。
    「早かったね、平子さん。この後、分かってるよね?」
     高圧的な発言とは裏腹に、優しく唇を奪われる。
    「っ……」
     俺は雨音で聞こえない振りをして、彼の傘に入る。
     路地裏に入ると、いかにもなホテルが立ち並ぶ。
    「さ、濡れないうちに入ろう」
     促されるままホテルに入る。
     これで良かったのだろうか、と自問するが酒が回った頭では考えられない。
     
     けれどあの場にいるより、彼と過ごす時間の方が0.01mmくらいは楽しいかもしれないと思った。
     
     おわり。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    e_n_s_a_n

    DOODLE
    🧲フールズゴールド食卓には、色とりどりの食事ではなく、宝石が積み重なっている。それらを一つずつ手に取って、これらの俺のものだと笑った。こんな簡単に手に入ってしまうなら、今までの人生がバカバカしく思うがそれでも良い。
    なぜかって?
    これだけの財があれば、今までの人生がどれだけクソだったとしても、それを取り返せるだけの金があるからだ。
    これはルビー、サファイア、そしてかつて採掘していた金塊に金貨まである。
    「これで俺も勝ちまくり、モテまくりってか」
    同僚と雑誌の回し読みをした時、裏表紙の広告にあった文句を呟いてみる。女の肩を抱いて札束風呂に入っている男の姿を思い出し、俺もようやくこちら側に来たのだなと実感した。
    荘園に来た時は周りの人間たちと自分の境遇があまりにも違いすぎて、一周回って自分より位が上の人間の事が嫌いになりかけた。けれど、俺もいずれ彼らと同じ地点に到達するのだと思ったらむしろ彼らから学ぶべきだと思ってからは、一つひとつの行動を観察するようになった。技術は見て盗めと教わってきたので、テーブルマナーも立ち振る舞いも全て周りの人間を見て勉強した。今までの行動は全てこのためだったのだろう。
    831

    related works