ずっと一緒!「今日は一緒に来てくれてありがとうございますピッコロさん」
「別に構わん。暇だったしな」
新年を迎え、二人はお参りをしに神社へ来ていた。本来であれば悟飯の親であるチチや牛魔王が一緒だったはずなのだが、チチのつわりが酷く来られなくなってしまった。悟飯はチチのことが心配だった為行くのをやめようと考えていたが、チチに「ピッコロさと行ってくるだ!」と背中を押され今に至る。
「ピッコロさんおみくじ引きませんか?」
「おみくじ?」
おみくじを知らないピッコロに「今年一年の運勢を占う紙ですよ」と簡単に説明をし、二人はおみくじを引くことにした。
「大吉と書いてあるが」
「凄いです!一番良い結果ですよ!」
正直結果には何も感情が湧かないが、自分のことのように喜ぶ悟飯に引いてよかったと心が安らぐピッコロがいた。
「お前はどうだったんだ?」
「僕はですね…あ、大凶!」
一番良くない結果です。とニコニコしながら報告をしてくる悟飯。
「悪い結果でなぜそう笑っているんだ」
素直に疑問を口にした。一番悪い結果ならもう少し悲しそうな顔をするものではないだろうかともっともな疑問に悟飯はニコニコしたまま答えた。
「ピッコロさんと初めて引いたおみくじですからどんな結果でも僕嬉しいです。それにピッコロさんが幸せな一年を迎えられるなら僕どんな目にあっても笑って過ごせると思います!」
「…」
自分の幸せをただただ望む悟飯にピッコロは先程までの安らぎが遠のいていくような気がした。気持ちが嬉しくないわけではない。だが、ピッコロの幸せだけ望む悟飯の考えは気に入らなかったのだ。
ベチン!
「あいた!?」
ピッコロは自身が引いたおみくじを悟飯の顔面に思いっきり押し付けた。急なことに対応できなかった悟飯は顔がヒリヒリするのを感じながら少し涙目で押し付けられたおみくじを手にする。
「そんなもんいらん。お前がいればそれでいい」
ただ一言告げてピッコロは帰宅への道を進む。呆然としていた悟飯だが、すぐにピッコロの後を追いかける。
「ピッコロさん」
「それは捨てとけ」
「でも…折角の大吉ですし、バチが当たりますよ…」
「…ならお前が持っていろ」
「わっ…!?」
悟飯を抱き抱え再び歩き出す。「待って!?」や「僕もうそんな子供じゃないです!」など顔を赤らめて抗議をする悟飯がいたがそんなことは気にしない。
「大吉とやらを持っているお前と一緒にいれば捨てたことにはならんだろ。今年一年オレから離れるなよ」
下ろしてくれる気配がないと悟った悟飯は赤い顔をピッコロの肩で隠しながら「一年だけじゃ嫌です…」と呟いた。
「ならずっと離れるなよ」
「ピッコロさんも勝手にどっか行っちゃ嫌ですからね」
終