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    tama_2z

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    tama_2z

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    DomSubなお話-1-
    ナビセノ+アルセノ(2話以降)

    ※DomSubについて触りしか説明がありません。
    わからない方はぐぐってくれると助かります🙏

    DomSubなお話-1- 日が落ちかけた夕暮れ時、窓から差し込む光がしんと静まり返った教令院の廊下を赤く染めはじめる。焦茶色でオールバックにセットされた髪に、円い眼鏡、深緑の色を配したローブを着、落ち着いた雰囲気のある青年の声が響く。
    「先輩、ちょっとこっちに来てもらってもいいですか?」
     その声に応じ、ペタペタと彼に近づく足音がひとつ
    「ありがとうございます。これ、見てほしいんです」
     ローブの彼が持っていたのは数枚の紙で何かの書類のようだった。足音の主は彼が差し出した書類を受け取り紙面に書かれた内容を確認する。さらりと白銀の髪がこぼれ、足音の主の顔にかかる。それをそっとローブの彼が救い上げ耳にかける。
    「問題ないよ。次に回してくれ」
    「見てくださり、ありがとうございます」
     なんてことのない会話、どこにでもありふれた書類確認の光景。でもこれはこの2人にとっての日常的な-play-なのであった。

     この世界では、男女の性以外にダイナミクスという力量関係のDomとSubという性を持つものがいる。DomとSubの間では特殊なコミュニケーション、-play-を行うことにより、信頼関係を築いている。playではDomが-command-を出しSubがそれに従うというのが通例だ。

     ローブの彼が今回使ったcommandは2つ-come-と-look-。彼らはこの2つのcommandを日常的に取り入れ、お互いの欲求を満たし、信頼関係を築いている。
    「先輩、今日はもう終わりにしますか?」
    「ああ、十分だ。ありがとう」
     先輩と呼ばれる足音の主の返答にローブの彼はくすりと笑い、違いますよ。仕事のほうです。と質問の意図を説く。playの過不足についてだと勘違いした足音の主は少し照れる様にすまないと謝り、この後もう少し書類確認をする旨を伝えた。
    「お前はたりてるか?」
     今度はローブの彼より頭ひとつ分低い位置にある白銀の髪の隙間から夕焼け色の瞳をまっすぐに向け、足音の主が問う。
    「少し、髪を梳かせていただけると」
     もちろん先輩のお邪魔でなければと付け加え、濁りの無い夕焼け色にお伺いを立てる。
    「ああ、問題ない」
     夕焼け色が曇ることなく、まっすぐな返答にローブの彼は口をほころばせ、口早にすぐにこの書類を次に持っていきますと言いながら駆け出す。すぐに帰ったりしないから急がなくていいと伝える暇もなく立ち去るローブの彼を見送りつつ、足音の主は先程より強く赤く染まった廊下にまたペタペタと足音をたてながら、自分が勤める執務室へと向かうのだった。

    ***

     コンコンと執務室のドアが叩かれる。どうぞと淀みの無い返事のあと、失礼しますという言葉と共に深緑のローブを着た青年が、大事そうにひとつ箱を持ちながらドアを開ける。
    「ナビル、ドアの札を休憩中にしておいてくれ」
     ナビルと呼ばれたローブの彼は言われた通り、廊下側のドアにかかった札を勤務中から休憩中に差し替え、パタンとドアを閉めた。
    「セノ先輩、暗くないですか?」
     ナビルが入室した部屋、大マハマトラの執務室は窓からほぼ落ちかけの西日が少しと、部屋に主の手元を照らす卓上ライトがひとつ点いているだけだった。部屋の主、ナビルの先輩である大マハマトラ-セノはよほど書類仕事に集中していたのか、仕事机の後ろにある窓の外を見やり、ああ、だいぶ日が落ちたんだなと、ナビルの言葉でようやく部屋の暗さに気付いた様だった。
    「先輩、明かりつけますね」
     ナビルはセノの返答を待たず、壁際にあるフロアライトを点灯する。すると、ふんわりと暖かみのある白熱色が広がり、薄緑の壁に反射して部屋全体をほんのりと明るくする。
    「そっちじゃなくて、シーリングでよくないか?」
    「だって先輩休憩するんですよね?ならこのくらいのほうがリラックスできると思いますよ」
     効率的にシーリングライトで部屋全体を明るくすることを提案するセノに対し、この後のことを考え、雰囲気を優先するナビル。
    「コーヒーいれますから、先輩はソファーに座っててください」
     ナビルは、仕事机から少しはなれたところにあるソファーの前のローテーブルに持っていた箱を置き、コーヒーセットがあるコンソールテーブルへ向かう。そんな彼を見てセノはふーと息を吐きながら背もたれに体重を預ける。こう言い始めたら融通の効かないのがナビルだと知っている彼は、机に広がる書類を軽くまとめ、被っていた大マハマトラの象徴ともいえる、ジャッカルヘッドを机に置き、ソファーへと向かう。
    「休憩の札にしたのはお前のためで、俺は仕事を続けるつもりだったんだがな」
     トポトポとカップに注がれる音と共に広がる香ばしいコーヒーの香りに、部屋が包まれるなか、ナビルが置いた箱前のソファーに座るセノ。
    「私のため以外にも休憩の札は使われるべきですよ」
     とコーヒーが入ったカップを2つもち、ナビルがセノの隣へ座る。セノはナビルからカップを1つ受け取りつつ、ナビルに背を向け、片足膝を抱えるように座り直す。そんな彼の行動を咎めることもなく、ナビルは持っていた残りのカップをローテーブルに置きつつ、持ってきた箱の留め具をカチャリと外す。箱の中にはアーチがかかった櫛が1つといくつかのヘアオイルが入っていた。
     ナビルはなれた手付きで、ヘアオイルを取り出し、自身の手に馴染ませていく。後ろを向き、まだ熱くて飲めないコーヒーの香りを楽しんでいるセノに触りますねと一言声をかけ、ヘアオイルが馴染んだ手を白銀の髪に絡めていく。
    「大の男が、野郎の髪を撫で回してるところなんて見られたらなんて思われるかな?」
    「意地悪なこと言っているつもりでしょうけど、私は見られても気にしませんよ」
    「なら、札を勤務中にもどすか?」
     セノはドアをアゴで差し、後ろにいるナビルをチラリと見やる。意地悪やめてくださいと抗議する後輩に冗談だとクツクツと笑う意地の悪い先輩。ただ、ケア中だけでも先輩に休憩をとってほしいだけだと言うのに、わかっててこういうことをいう先輩は本当に意地悪だ。
     ナビルは手櫛をやめ、箱のから弧のかかった手のひらサイズの木目調の櫛を取りセノの髪宛がう。少し冷めたコーヒーをこくんと飲む音と櫛が髪を滑る音のなかに、コンコンと叩く音が大きく響く。
     部屋の主の返事を待たず開くドア

    「これは・・・お邪魔だったかな?大マハマトラ殿」

    ***
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