指輪掌の三分の一程の位置、そこから手首に向かって、更にそのずっと上まで皮膚の色が変色している腕。焼け爛れた、火傷の痕だらけの身体。その赤黒い皮膚と通常な状態の皮膚との境目を金属で繋ぎ止めているおどろおどろしい掌が、ホークスの掌を掬いあげた。そっと。その普段の様子からは想像もつかないほどに優しい手つきだった。伏せられていた瞼が持ち上がりホークスを見上げる。この男はこんな顔をしない。穏やかな、毒気の抜けた淡い間接照明のような温かい微笑みだった。髪の色は覚えていない。黒だったか、白だったか。継ぎ接ぎの掌に重なる様に乗せられた自分の掌。その素手の甲を親指がそっとなぞる。そうして指を、薬指を中心に包まれ、そこに銀色の輪っかがそっと嵌められた。
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