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    赤ボールペン

    @lamwpam9

    支部の下書きの供養目的ではじめました
    支部↓
    https://www.pixiv.net/users/22914066

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    赤ボールペン

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    五伊地シーンはないけど五伊地になるはずだった何か
    終始伊地知さんの語りです
    なんというか前振りを数ヶ月前からチマチマ書いてってもうなかなか本題まで行ける気がしないのでここで供養

    #呪術廻戦
    jujutsuKaisen
    #五伊地
    goiji

    五伊地「あぁ、やっぱりダメだったか…」
    ドンドンドンと今にも突き破ってきそうな勢いがするノック音と仕事用のスマートフォンが同時に鳴り出したとき伊地知は全てを察して天を仰ぐ。
    「伊地知、おい居んだろ、伊地知ってば」
    せめてシャワーを浴びた後にして欲しかった。
    そんな自分の心情など考慮してくれる筈もなく、スマートフォンは一向に諦めてくれずひたすら鳴り続け、扉の向こうにいる彼は勿論のこと電話相手も同じく怒り心頭なのが変にある勘が察知する。
    優先しなければならないのは圧倒的に電話の方なのだが、ホテルの部屋で大きな音を遠慮なくたてる彼を苦情が来る前にまず相手にしなければならない。
    「いますよ、います、いますって」
    つい自身も声を張り上げてしまいながらも慌てて扉を開く。
    「何だよアレ」
    「……………」


    結婚まではいかなくともそろそろ御当主としていい加減に家のことを真剣に考えて欲しいとなんと五条家の本家に直々に呼び出され、一度手をつけたという既成事実さえ作れればいいのでこの際薬を盛ってくれても構わないとまで告げられ、その為の架空の泊まり込みでの任務を仕組むよう命じられたのは1ヶ月前のことだ。
    普段はチャランポランだが五条悟という男は仕事となると必ずキッチリと真面目にこなす。ギャップとまでいえるそんな仕事上の姿勢に尊敬していた伊地知にとってはそんな計画罪悪感この上なかったが、いくら当主抜きといえども御三家五条家の命令、それに普段その手のことには首を突っ込まない保守派上層部も認知した上で黙認どころか後押ししている様子をうっすら伊地知は勘づいていた。
    ーー所帯を持てば馬鹿な思想を捨てて少しは落ち着くだろうし、何より一刻も早く六眼持ちの子が欲しい
    珍しく手を組む彼らからはそんな下衆な意図が容易く汲み取れたし協力などイチミリたりともしたくなかった。
    事前に用意したホテルの部屋で媚薬と睡眠剤のような効果が少しあるドリンクを用意して飲ませた上で、一度も見合いの呼び出しに応じていないため、本人はまだ顔どころか名前すら知らないのだが、数年前から決められていた許嫁候補の娘が入室する
    正直こんな三流喜劇のような作戦があの五条悟に通じると本気で思っているのかと聞いたときは思わず失笑してしまったが、五条悟専属とまで呼ばれようと所詮自分はただの補助監督。断る権限など持ち合わせておらず、ほとんどを拒否出来ずに任されてしまった。

    この馬鹿げた計画は本人以外にも決して口外しないように命じられていたが、先輩である庵歌姫に半ば強制的に呑みに付き合わせられた際、久々のアルコールに酔いがまわった勢いで思わず愚痴ってしまった。
    するとなんと自分にも以前加茂家から家内で何度も話し合い既に決められている女性と強引に…という同じような企みに教師と生徒という間柄を利用して協力しろと命令されたと話された。しかも家内で決めたといってもその肝心の本人とは全く面識の無い女性らしい。
    母親の件でわだかまりが有り仲が悪いと聞いていたとはいえ何てことないように協力しろとこちらに顎で命じてくる実の父親を相手に喧嘩腰で怒鳴り上げてしまうのを懸命にこらえながら、いくら結婚可能な年齢になり次期当主の妻として恥ずかしくない相手が見つかったとはいえ、彼に対してこちら側がしようとしていることは完全に性犯罪だと訴え、何故かこちら側に非があるかのような空気になりながらも、半ば説得するような形でその計画をなんとか中止させたらしい。
    「もちろん私も計画が潰れた後もこのことは学長含めて絶対誰にも言うなって念を押されたわ。もうそれこそ破ったら即弓矢で殺されるぐらいの勢いで」
    まさに今暴露してしまったのだが、熱心に教職に就き、生徒想いの彼女にとっては不快この上ない出来事だったのだろう。
    「計画がご破算になった八つ当たりでなのかしら。婚期逃したうえに顔が潰れて嫁ぐあてが失くなったからまだ青い男を誘惑するために教職に就いたのかなんて嫌味を最後に散々浴びせられたわ。間違ってでもその汚い手でうちの子に手出しするなよなんて」
    苦虫を噛み潰したような今まで一度も見たことのない顔で続けた言葉にそこで受けた女として扱いの悔しさも見て取れた。
    加茂君はとても生真面目で礼儀正しい青年だし、五条さんだってヒステリックだのと会う度に庵さんをからかいはするもそれは決して男尊女卑の思想からではない。初対面の女性相手にも冗談で済まされないようなセクハラじみた言動は絶対にとらないし、庵さんに対しても顔の怪我について軽薄に口にしているところなんて見たことがない。
    それはいくら保守的な世界といえど、時代と共に変化していった男女の立ち位置と生まれ育った世代による彼らの若さゆえなんだと思っていた。
    しかし、五条さんとたった1つ違いの歳をした彼らと同じ立ち位置にあたるという禪院家の人物と一度仕事で関わった際、露骨に補助監督という自分の立ち位置を見下した態度で接されながら、車内ではひたすら血筋や実力面での評価で五条さんや乙骨君らを褒め称え、逆に従姉妹の真希さんや真依さん達には"女の癖に"とセクハラや悪口を繰り返しその上その時だけは同じ男として自分にも同意を求められ、とても不愉快な人物だった。
    結局のところ上層部や御三家内では年齢や世代などは関係なくあの2人ぐらいが例外なのかもしれない。
    「生徒として後輩として普段あんなに顔を合わせて接してても、なんだかんだ私達には理解出来ない世界なんでしょうね、でもまた今度は真依相手なんかに同じような話されたら殺されてでもいいからぶん殴ってやるわ」
    その目にはどこか遠くを見つめながらも確かな怒りに溢れていた。



    「五条さん…今回は良いお部屋をご用意出来ましたので」
    目的地に到着し、ホテルのフロントから鍵を受け取る際に自分の声が変に詰まらないよう気をつけながらそれとなく話しだした。
    「ふ~ん、そうなんだ」
    その一言がどうか純粋な返事でありますようにと願う。
    元々同行する際ホテルの部屋は普段からツインではなく別々に二部屋にとるため違和感はないはずだが、流石に毎度のごとく高級ホテルが手配できる訳がなく、五条が泊まるのはだいたいがビジネスホテルの伊地知が取る部屋と同じかワンランクだけ上の部屋となっている。
    しかし今回は政治家や芸能人などが密会部屋として好んで使用しているらしい少しラブホテル仕様をした最上階のスイートルーム。対して伊地知は2階の一番安いコースの部屋だ。それでも普段と比べると充分に広く快適な造りとなっている。
    エレベーター内で14階の次に2階のボタンを押したとき、点灯したいつもよりも遠いその数字差に冷や汗が出る。
    たかだか1階上に上がるだけの1分にも満たない時間がひどく重く伸しかかる。
    「………では、また明日に」
    五条は最後まで軽口をいっさい叩かずひたすら無口で無表情だった。

    「何だよアレ」
    「……………」
    「やたら強引に勧められたドリンクで頭変にまわった気がしたら見たこともない女がバスローブ姿で入ってきたんだけど」
    「申し訳ありませんが、私からはなんとも。ご実家の方と」
    失敗を予想して準備していたセリフを口にするも今にもビームが打てそうなぐらい怒りに燃えている彼の碧眼と目があって、もうあらいざらい白状するしかないと悟った。

    「ふ~ん、伊地知のくせしてね〜」
    結局すべてを聞き出した五条は不機嫌そのものだった。そして話している間から今もなお、スマートフォンは許さんとばかりに鳴っている。
    「あの、五条さん少しよろしいですか?」
    スマホを手にしてジェスチャーで電話に出る許可をするも、いともたやすく取り上げられ電源ボタンを長押しされてしまった。
    「よろしいわけねーだろ」
    「…でしたらせめてお部屋にお戻り下さい。明日の任務は無かったとはいえ、つい先程の件で本日は充分にお疲れでしょうし、入室前に私の方から皆さんに直接説明致しますので」
    「はぁ?あんなことされた部屋で寝ろっての?」
    「こんな時間にもうどこのお部屋もとれませんし…」
    広く作られているのだろうがダブルとまではいかないベッドの上に我が物顔で腰掛ける彼をなんとか説得する。こんなことした自分こそが外のベンチででも一夜を明かすべきなのだろうが、丸々今日一日かいた冷や汗がどうしても気持ち悪い上にワガママになるが今日は自分も疲れた。ベッドの上で寝たい。


    (…………でこのあと、『ドリンクでその気になっちまったんだから相手になれよ~』ってチョメチョメする
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