五歌 続きボツ「んー、霞ちゃん…ね」
「はい」
伊地知は車内の後部座席の2人をバックミラー越しに確認すると自身のこの場の合わなさに胃が締め付けられるようにキリリと痛む。任務出発前にどうしても話したいことがあると彼女が強引に乗り込んできた時から抱いていた嫌な勘は見事に当たった。
「これはねー、僕が皆に言ってること…というか決めてることなんだけどね、僕は基本同じ職場の身内の子にはよほど好みでも手出さないの。何でか分かるかな?」
「き、気まずくなるから…とかですか?」
まだ幼い少女はすでにその丸い瞳に涙を浮かべながらもその目は五条から離さない。
「それぐらいで済んだらいいんだけどねー。やたら僕のこの脚を引っ張りたがってる連中が多くてさ、特に君みたいに長年の先輩の生徒さんってなるとこれまた色々と拗れて面倒事になりそうだ」
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