オメガバースはじぐだ前日譚・つがいになりたい 斎藤のおじさんに新しく自転車を買ってもらった。
五月の天気はとても暖かく晴れ渡っていて、授業も午前中で終わった日の帰り道のことである。
帰路を歩きながら小学四年生の藤丸立香はふと思い立った。
(そうだ、一ちゃんの学校に行ってみよう)
一ちゃんこと斎藤一は立香が住まわせてもらっている斎藤家の次男だ。
立香のことをとても可愛がってくれている。
一が通っている中学校には何度か車で行った事はあるから道は分かる。
学区内ギリギリで少し遠いけどサイクリングがてら行ってみよう。
新しい自転車を買ってもらったのだから探検はしてみないといけない。
立香の両親は一年前、事故で亡くなった。
両親が亡くなった後しばらくは親戚の家に住んでいた。だが両親と仲の良かった斎藤夫妻が立香を引き取り、こうして実子同然に育ててくれている。
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