第25回 降志ワンライ午後九時。約束の時間ピッタリに玄関のチャイムが鳴った。
「いらっしゃい降谷さん、お疲れ様」
お風呂上がりの身体にピンクのふわふわもこもこルームウェアを装備した私は、やってきた恋人を玄関内へ迎え入れた。
ほんのりと湿り気を帯びて頬に纏わりつく髪の一房を耳の後ろに流し、上目遣い気味に恋人の顔を覗き込む。
彼はその青灰色の瞳をそよりと泳がせ、手に持っていたビニール袋を私の手に押し付けるように渡してくる。
「これ、話してた苺。今朝摘んだばかりで新鮮だから、寝る前にでも食べて。僕はまだ残務があるからお暇するね、じゃあーー」
一息でそこまで喋りきり、今入ってきたばかりのドアから出て行こうと、くるりと向けられた背中。その白いワイシャツめがけて体当たりするように抱きついた。
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