わるいことはしてないもん(仮夷陵の山に恐ろしい黒龍が住んでいる。人と妖がまだ共存する世の中、じわじわと何年もかけて噂が広がっていった。
一つ途轍もない力を持っている。
龍族ならば余程の怠けものでもない限りは、力は持っていて当たり前だろう。
一つその黒龍は山奥の大きな洞窟を住処にしている為に余程の限り近づかなければ遭わないが、近づけば威嚇されるらしい。
妖はどの種族も縄張りというものを大事にしているし、特に龍種は縄張り意識が強い威嚇された理由が住処に近づいたなら当たり前の反応ではないだろうか。
一つその黒龍は死鬼を使役するらしい。
姿を見た、という者の話では黒龍しかその場にいないのに誰かがそこにいるように話をし、時に動く屍が傍にいたらしい。この噂の真偽は分からないが、その話は本当ならその黒龍の能力なのだろう。妖の中には彷徨うものの魂を輪廻へ返す種族もいるので、珍しさはあるがそれが恐ろしさの全てではないだろう。
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