FNFAU_insectfairies 設定集○あらすじ
ある時、病院から一人の青年が失踪した。誘拐だった。
同時期に、観光と冒険を兼ねて旅する不思議な男女が世界各地で見られるようになる。
神秘を解き明かす“知”の女性、GF。
神秘を語り継ぐ“詩”の青年、BF。
操る者と操られる者、歌われる者と歌う者……そして、誘拐犯とその被害者。
追手の目を掻い潜り、妖精の魔の手から逃れ。歪ながらも強固な絆で結ばれた二人は、今日も世界を旅して征く。
【世界観】
リアルと同じ現代。但し、ファンタジー要素として“妖精”と“魔力”の2つの要素が入っている。
人間と妖精の関わりは地域によって様々で、極力関わっていない場所もあれば交わって妖精の末裔が普通に闊歩している場所もある。そういった人間と妖精の関わり合いの中で、事件は起きる。
基本、物語は主人公の二人がフラッと観光地に現れて事件を解明してフラッとその場を去る形になる。
○魔力
魔術・魔法を扱うのに必要な力。最も妖精の身体を構成している成分でもあり、かつてはこの力を持つ者が魔女、魔法使いと呼ばれた。魔力を得るには“炉心”と呼ばれる実体のないモノが必要不可欠であり、これは種族老若男女問わず誰もが生まれた時から持っている。
かつては空気中に多分に含まれるほど世界に存在したが、時代と共に人間の領域が増えていった事で、今では魔力を最低限感知できる者さえ極わずかとなっている。
また、同時に「現実には不必要な要素」でもあり、これを多分に含んでいればいるほど存在が認識され辛くなる。透明人間みたいなもの。
○異界
時空が歪むほど魔力が集まった空間。現代では人為的な物が殆どだが、稀に自然発生のも存在する。
異界では時の進みも自然の摂理も全てがねじ曲がり、混沌としている。一週間異界にいて外界に帰ったら一時間しか経ってなかった、という事もざら。
また、異界を掌握し支配する者がいれば、その者の正体問わず下記の“妖精郷”と呼ばれる。
○妖精
人間にとって最も遠い隣人。魔力から生まれ、魔法を得意とする。魔力を感知できない者には見えない。
生まれ方は簡単で、何らかの現象や概念が高濃度の魔力と結びつく事で生まれる。小さな水しぶき、捨てられた糸くず、死に際の断末魔。そんな些細な物でも、魔力と結びつけば妖精化する可能性を持つ。
現代においては魔力が存在する場所が狭く濃くなっている為、妖精の総数は昔と変わらなくても人間の前に出ることが少なくなった。それでも、好奇心のある妖精は人間社会に出ては失踪したり子供を攫ってきたりする。
彼らは生まれた瞬間から存在目的を持ち、それを果たすためだけに生きる。目的を果たせば消滅するが、果たさず逆らっても災害化して消滅する。生まれた瞬間から破滅が約束された種族。
○妖精郷
フェアリーアーク。人間社会の支配外、異界領域。
第Ⅵ階梯以降の妖精、或いは素質のある人間が持つ心象風景。自身の世界観、アイデンティティ、心の有り様を大きく映し出す自分だけの領域。魔力を放出する事で現実に顕現させる事が出来る。
顕現した妖精郷は物理的に存在する為、破壊することも徒歩で脱出・侵入することもできる。その力があれば、の話だが。
○協会
妖精からの人間社会の守護を掲げる組織。
妖精を研究して通用する武器や魔術を作る研究部と、妖精の掃討や審問、被害者の保護を目的とする掃討部がある。世界中に点在しており、巨大組織によくある様々な憎悪や欲望が絡み合った、一筋縄ではいかない組織。
【登場人物】
○Girlfriend / SpiderGF / ???
長い年月を生きる旧き妖精。病院で朽ち逝くだけだったBFを攫い、世界を共に旅する。
・年齢:不明(500年前後?)
・種族:蜘蛛妖精(第Ⅳ階梯)
・性別:無し(性自認は女性)
歌い手。年齢不詳の妖精種。ひょんな事からBFと出会い、誘拐して共に旅をしている。ラッパーという訳では無いが、BFの歌に付き合っている内に上達した模様。
糸を扱う蜘蛛妖精、アラクネーの生き残り。機織りについては誰にも追随を許さず、服、造花、装飾品、ワイヤー、兎に角糸と付くものであれば何でも生成できる。対象に糸を巻き付けて操ることも可能。特にこの能力にGFは長けており、BFを全く違和感なく歩かせたり食事をさせたり、空間全体に張り巡らせて一種の結界にしたり出来る。
妖精としては二度の戦争を体験している程の長生き。なのでかなりタフだし知識も経験も豊富。ただ、恋愛事情に関してはかなり初。全体的に良い意味で子供っぽく、好奇心旺盛で、恋に真剣。妖精の業に悩み人と触れ合おうとする、妖精の中ではかなり人間に寄った思考の持ち主。存在目的が「愛し愛されること」の為、今まで沢山の愛人や伴侶を持ってきた。
かつて乱獲対象だったアラクネーとして、そしてBFの誘拐犯として、様々な所から首を狙われている。本人は気にしていない。
緋色の瞳に紅く変色した髪の毛先や爪先が特徴。苦手なものは珈琲(カフェインが駄目)。
モデルはアンティルピンクトゥータランチュラとアラクネー。
人間関係
・BF:恋人
・Cassandra:義理の娘
・Senpai:元恋人
・insect Pico:天敵かつ障害
○Beatrice Fleurite / MorphoBF
3年前の事件によって身体の自由を喪った青年。GFに攫われ、自由を得、世界を旅する事になる。
・年齢:19
・種族:人間
・性別:男性
スピーカー役。GFと共に旅をしている。かつての将来の夢がラッパーで、よく彼女に歌を聴かせていたらGFも歌うようになった。今は作曲家。
銃乱射事件(≒Pico’s school)にて全身麻痺になり、病室に閉じ込められていた所をGFに連れ出された。首から上しか自分の意志で動かせず、首から下はGFに糸で動かしてもらっている。
“星の炉心”という最高峰の生成量と質を持つ炉心を両目に宿している。どんな魔術や魔法も彼が歌えば霧散し、どんな傷も魔力で直ってしまう。この為、妖精からは貴重な魔力タンクとして囲い込まれるか侵略者として襲われるかの何方かの反応をされる事が多い。
穏やかで冷静沈着、温厚だが現実主義。賢者という言葉が相応しい、19歳とは思えないほど老成した人格者。同時に自分に対して何処か冷めた目で俯瞰している側面があり、自己の幸福に対しては“GFがそう望むから幸せになる”と思う程無頓着。
ミッドナイトブルーの長髪にペール・アイリスの瞳。目の色が希少である事からよく狙われる為、カラーコンタクトで黒に変えている。
モデルはモルフォ蝶。
人間関係
・GF:恋人
・Senpai:知人
・insect Pico:親友?
○Cassandra Festoon / Hunter Cassandra
協会屈指の妖精狩り。協会からの命令として、そして個人の判断として、二人の命を狙う。
・年齢:20-21
・種族:人間
・性別:女性
所謂本家で言うPicoの役割を果たす人物。ゲームならweek3で主役を張り、week7で助けに来てくれる。
元妖精憑き。3年前に妖精に唆されて銃乱射事件を起こした犯人であり、今は贖罪の為に協会に身を置いている。成果は沢山あげているが、あくまで所属している班への愛着があるだけで協会への忠誠心はない。
人間の中でも有数の魔力量と魔術の腕を持ち、通常なら複数人で何十行もの詠唱と大量の生贄を必要とする大魔術を、たった一人たった一文で発動させる実力者。恐らく現代どころか歴代の人間としても高い素質を持つ。
冷徹で気難しい性格。人と馴れ合う事を好まず、いつも独りでいる。然し、子供や母親相手には強く出れない側面も持つ。もしかして:不器用
それとは別に、GFとは何らかの確執があり命を狙ってくる。BFも協会の意向が掃討に傾いているのとPicoが狂った原因と思っているのとで、出会ってすぐ戦闘になる。和解後は鬱陶しいと思いながらも何だかんだ付き合っている。
顔を除く全身に傷痕がある。薄灰色の目に真紅の髪。酒豪でヘビースモーカー。
モデルはアシダカグモ。
人間関係
・GF:義理の母
・BF:捕縛対象
・妖精狩りX班:所属している班。嫌いではない
・insect Pico:片思い相手(の成れの果て)
○Senpai / Bird Senpai
GFの旧くからの知人。魔眼をコレクションしており、BFの眼の事で定期的に顔を合わせる。
・年齢:約100年
・種族:鳥妖精(第Ⅳ階梯)
・性別:無し(性自認は男性)
数多の人間や妖精から魔眼を買い取り、或いは売り捌く流浪の商人。魔眼だけでなく義眼、眼鏡、コンタクトレンズなど、様々な道具を取り揃えた“目”のエキスパート。BFの魔力炉心たる目を狙って襲い掛かり、最終的に目を封じる為のカラーコンタクトを売る代わりにBFの魔力を買い取る形で収まった。
人間を酷く嫌っている。それは最早憎悪と言っても過言ではなく、取り分け人身売買などの裏がある相手に対しては問答無用で殺戮に奔るほど。反面、何の罪もない被害者や怪我人に対しては敵意を持てず、手当てを施し然るべき場所へ送る程度の良識も備えている。嘗て自身を弄んだ人間と同じになりたくないが為に善行を行うタイプ。それでも人間が嫌いな事に変わりはないので、ことあるごとに文句を言ったり愚痴ったりしている。
鳥から生まれた妖精だが見た目はオリジナルと変わらない姿で翼や爪を持たない。当然飛ぶことも出来ず、いつか空を自由に飛び回る事を夢見ている。同時に、自分が自分である限りそれが叶わない事にも気付いており、そこから目を背けて生きている。
戦闘時において、魔眼等は商品のため使わない。代わりに動物霊の使役を得意とする。
人間によって理不尽に殺されたモノ。弄ばれ、嘲笑われ、愛玩さえされる事なく殺されたモノ。そういった動物霊に己の魔力を付与して実体を持たせ、爪や牙などで呪い殺す。勿論使い潰しなど絶対にせず、終わったら必ず供養している。
人間が内に秘める「自分達は動物や自然に恨まれて当然だ」という恐怖を利用した、原始的かつ基礎的な呪術。この為、応用すれば対人外にさえ時には凶悪な効果を出す。
魔眼で稼いだ金は同胞達の標本を買い取るのに使っている。容姿に変化はなし。
モデルはリョコウバトとオオウミガラス。
人間関係
・GF:元恋人
・BF:買い手
○Parasited Confidence / insect Pico
BFを狙う青年。人当たりが良く、表社会でも裏社会でも人心を掌握して、嘗ての親友を奪いに来る。
・年齢:20?
・種族:吸血妖精(第Ⅲ階梯)
・性別:無し(性自認は男性)
ラスボス。GFにとっては越えなければならない壁であり、倒さなければならない天敵。
破壊衝動と執着の化身。とかく全てに対して攻撃的で、依頼主も対象もすべからく殺して回るのが流儀。その癖人当たりが銃乱射事件前と同じように良いため、警察にも近隣にも沢山の味方がいる。優等生宜しく常識を語りながら人質や肉盾扱いも辞さない、非常に厄介な存在。
その正体はPicoがかつて抑えていた破壊衝動が妖精化したもの。3年前の事件の直前にて文字通りPicoの心身を食い破って“羽化”した吸血妖精。元々Picoに才能があったのかたった3日で第Ⅲ階梯まで進化し、抑圧されてきた欲望のままに銃撃事件にて暴れ回った。
BFに対して強い愛憎と殺意を抱えている。その末に「心を殺して身体を手に入れればいい」という結論に至り、事件の際にBFを背中から撃った。それからは病院で寝たきりのまま発狂するBFを愛でていたが、GFが連れ去った事で取り返そうとしてくる。
吸血妖精として血液を操る能力を持つ。弾丸にして内側から破壊する猛毒にしたりマップ攻撃にしたりとかなり凶悪で殺傷性・拷問性共に高い。ただ、生まれて間もないのとGFよりも経験が浅いのとで、いつも最終的には逃げられる。
目が睫毛も含めて全て白い。それ以外変化なし。
モデルはコマユバチとヒメバチ。
人間関係
・BF:親友兼標的
・GF:天敵
・Cassandra:他人
【補足】
○妖精について
妖精には階梯が五段階存在する。
各階梯にて名前がついている。また、ここでは基準として年数で分けているが、大量に魔力を獲得した時でも繰り上がる事はある。
Ⅰ:ゴースト
魔力を得て先ず成る姿。実体が不安定で自我も薄く、基本的に生前や元となる現象の再現ばかりしている。吹けば飛ぶ蝋燭の灯りだが、魔力を求めて人を取り殺す凶悪な存在でもある。
ここから次の段階に進むには数十年の時や数百レベルの魂の吸収を要する。
Ⅱ:ドッペル
ゴーストよりも自我がはっきりし、物理干渉の出来る肉体を持つようになる。それでもまだ不安定で過去の再現が行動指針。ゴーストよりかは知識を得てより効率的に魔力を収集しようとする。また、ここから既存の虫やヒトなどの姿を取るようになる。
次の段階に進むには年数にして数百年単位の時間が必要となる。ここが妖精にとって一番の鬼門とも言え、必然的に3日で乗り越えたPicoのヤバさが浮き彫りになるだろう(これでPico本人が妖精化していたら多分誰にも手が付けられなくなっていた)。
Ⅲ:ピクシー
完全に自我を獲得した妖精。過去に囚われない行動が出来るようになる。それまで魔力そのものや多分に含む魂を喰らっていたのが、ごく普通の食料や血など別のもので代用できるようになるのが特徴。その食料によって吸血妖精、食人妖精など名前が付くようになる。因みにGFは雑食。
それでもまだ不安定で、油断すると己の保有する魔力を簡単に掌握されてしまう。また、過去に囚われないと言っても本能的に残ってしまう部分があり、それを振り切ろうとした結果アイデンティティ崩壊に繋がって消滅してしまうパターンが非常に多い。
一般的な伝承上の妖精といえばこの辺り。力を持っていて、子供っぽくて、直ぐに人も自分も殺してしまう気まぐれな存在。
ここから次の段階に行くには数十年程度。年数の問題よりアイデンティティ崩壊で脱落するのが殆ど。
Ⅳ:エレメント
一つの個、種族として確立した姿。ここら辺になるともう見た目は人間と何ら変わりがない。ちょっとやそっとの干渉では崩れず、多彩な魔法、多様な知識で人間を圧倒する。
ここまで来ると人間に対する反応は2つに分かれる。即ち、下等種族として見下すか、隣人として接するか。大抵は圧倒的な力への全能感から見下したり忌避したりして接触を拒む。寧ろ好む方が奇特な妖精、イカれた好事家とされる事が多い。
ピクシーとエレメントを二分する最たるものが“妖精郷”の展開である。己の中の魔力を放出する事で展開する、自分だけの世界、己のルールによる支配。これは個として確立したエレメント以上しか使えない。
Ⅴ:ノイマン
新たな霊長類。地表を支配し得るもの。
エレメントとの境はただ一つ、“仲間を増やせるか否か”のみ。生殖だろうと呪いの感染だろうと、兎に角同種族を増やせるようになれば、それは新たな霊長類として世界に歓迎される。
逆に言えば、GFは生殖も感染も出来ないという事になる(だから何も考えずにBFを“つまみ食い”してる訳で……)。
余談だが、このような進化の仕方から、人間もまた“新たな霊長類”として既存の霊長類を廃絶して地表を支配するようになったのではないか、という説があったりなかったり。それなんてSCP?
○魔法と魔術について
妖精が使うのが魔法、人間が使うのが魔術。
魔法は様々な工程やコストがいらないが常に100%しか出せない。
魔術は沢山の手順が必要だが、時には妖精以上の力を発揮する。
○妖精側の主要キャラの存在目的について
・Spider GF:他者と愛し愛されること
・Bird Senpai:空に焦がれること
・insect Pico:BFに■■■■■■■■こと
○おまけの中学MorphoBFについて
14歳頃を想定したMorphoBFのこと。
基本的に本編のMorphoBFは驚かないし冷静で焦ることもあまり無いので、いっぱい吃驚したり絶望する枠として生まれた。
但し根幹の性格・実力はほぼ同じなのでやっぱり逸般人。寧ろ、自重や自制が出来ない分、こちらの方がかなり人から外れているように見える。
○Pico(真)について
妖精化する前のPico。ネクタイが妖精時の赤ではなく青であること、目がCassandraと同じく薄灰色であることが区別方法。
優等生であることに縛られ続けた“普通の子”。逸脱した善性も、開き直る悪性も、告白する勇気も持っていなかった一般人。BFの持つ意志という圧倒的な光と善性という眩く輝く闇に触れて魅了されてしまった、不運な少年。
──だから、壊れた。