添える指に任せようと思う いつもの放課後、いつものトレーナー室。
きっともうすぐブライアンが来て、今日のトレーニングは? と言う頃だ。そう思って顔を上げると、がらりと扉が開く。うん、タイミングは思った通り……でも、ん?
「ブライアン?」
不思議な姿が目に入り声をかけるが、まるで何事もないようにブライアンはドカッとソファに座り、当然のように背中に背負っていた大きなものをテーブルに下ろして、布のケースから楽器を取り出した。
それを見て、私はさらに驚く。
「え、え? ブライアン?」
私は机から立ち上がり歩み寄るが、ブライアンは未だに、おかしいのは動揺している私の方だと言わんばかりに普通の顔をしている。
「なんだ?」
「いや、なんだはこっちのセリフなんだけど……どうしたの、これ。見たところ、ベースに見えるけど」
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