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    スタラピ
    恋人期間の短文です。

    ##スタラピ

    「あなたのうでのなか」 ラピス、と優しく呼ばれ、それを合図にして彼女は恋人の胸に頬を寄せる。
     ひどく穏やかな気持ちだった。
     呼吸をすればよく知る匂いがして、自然と瞼は閉じてしまう。
     主であるスタルークの告白に頷いた日から、こうして彼の腕の中に収まる回数を二人で重ねてきた。
     記憶の糸を手繰り寄せると、まだ互いに触れ合う事に慣れておらず、ぎこちない抱擁を繰り返した頃が思い出される。
     距離を測りかねて二人共が前に出てしまいぶつかるようにして身を寄せ合う事になったり、逆に自分から強請ってよいものか分からずどちらからも手を伸ばせないまま時間ばかりが過ぎていったり──少し考えただけで初めての恋ゆえの出来事が幾つも浮かんだ。
     愛しい人のぬくもりの中、ラピスは思う。今でも器用に愛を育めているかと言われたら頷けない、と。
     だが、あの頃から変わった事も幾つもあった。
     お互い戸惑わないで抱きしめてもらう距離を自然ととれるようになったし、恋人の背に腕を回すタイミングにも悩まなくなった。くちづけて欲しいと自ら口にするのは今でも恥ずかしいままだが、今ではもう許可を求められれば焦る事なく目を閉じられる。
     スタルークの温もりと心臓の音が心地よく、身体を包む優しい腕は少しもきつくはなかった。
     そういえば、いつからだろう。抱きしめられる度に躊躇いがちに告げられた言葉も殆ど聞かなくなった。その事をラピスは思い出し、密やかに頬を緩める。
     痛くないですか。
     苦しくないですか。
     その言葉たちが記憶の中のスタルークの声で再生され、次いでいいえと答えた彼女自身の声が少し震えながら後を追った。
     本当は少しだけ苦しい時もあったが、離れたくなくて、離して欲しくなくて我慢したのは多分この先もラピスだけの秘密だ。
     少しくらい上手くできないままでも構いません。
     大好きなあなたと二人でする恋なら。
     心の中でそう告げてラピスはスタルークの背に腕を回す。
     抱きしめて、抱きしめられる。一方的ではないその行為が嬉しいのか、微かな微笑みの気配と薄桃色の髪に触れる唇の感触がラピスへともたらされた。
     確かな熱を帯びた胸の奥が、きゅうと甘く疼く。
     混じり合う二人の体温が生み出すのは幸せばかりで、スタルークの腕の中でラピスはもうしばらくこのままでいたいと願うのだった。
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