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    真砂長文倉庫

    @masago5050

    Twitterに収まらないものを入れる場所です。
    お手数ですが、Twitterのプロフをご確認いただけると有り難いです。
    ワートリ関係をのんびり詰めていこうと思います。
    まずはシステムに慣れることから…。
    プロフ画像は最高のコラボより。いつ見ても和む……。

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    真砂長文倉庫

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    折角のホワイトデー&さとしの日なので、どうにか水上メインで祝おうとしました。でも一時間半遅刻したので「後夜祭」。すみません。大学一年生設定。

    今回も「勢いって大事だね!」の精神で押し切りました。
    四時間で仕上げたので、色々ミスがあるとは思いますが、そこは“愛”で補っていただけますと有り難いです。

    そんでもってイコさん……すまん……好きだけど、貴方の魅力を書きだせない私を許してくれ……!

    ホワイトデー 蔵水&イコプリ「ロシアンルーレット」「やぁ」
    ボーダーのラウンジで最高に輝く笑顔と圧倒的セレブオーラをまき散らす同輩を目にして、水上は眉間の皺を三本増やした。
    (ここで課題を消化していたのが間違いやったか)と思ったが、連れ立っているのが蔵内である以上、席を立つのを断念した。
    「課題中だったか……。王子、後にしよう」
    「うーん……。みずかみんぐ、ちょっとだけ休憩しない?小腹がすいてたらで、いいんだけど……」

    そう言われてみると、確かに小腹がすいている。
    「せやな。後は纏めるだけやし……ええよ。何なん?」
    「ふふっ、良かった」
    再度、燦燦と満面の笑みを湛えて水上の正面に座る王子と蔵内。それに微かな寂寥を感じたが、その理由はすぐに判明した。二人が鞄からほぼ同一の包みを出す。両手に包まれたそれらは、チョコブラウンの包装紙に包まれ、ダークオレンジのリボンが結ばれていた。
    「さぁ、どうぞ」
    「良ければ食べてくれ」
    穏やかに微笑んで、其々差し出した。


    なんて……?


    いや、恋人である蔵内から貰うのは分かる。しかし、本来なら二人きりの時に渡すであろうプレゼントを、よりにもよって王子と一緒に渡してくるのが分からない。それでも、自分に対して酷いことをしてはこないという信頼を置ける相手だ。……一人は微妙ではあるが。
    「……ま、おおきに。いただきます」
    「召し上がれ」
    微かな衣擦れの音と共に包装を解いた。オレンジとカカオと紅茶の香りがふんわりと上る。
    「マドレーヌ?」
    「うん。ぼくたちに作れそうなのがこれだけだったんだよね。キャンディもマカロンもバウムクーヘンも、ちょっとハードルが高すぎたよ」
    「弓場さんのレシピだから、味は大丈夫だと思うんだが……」


    ……??


    元奨励会員である水上が、情報処理に多少の時間を要した。
    蔵内の“チョコとオレンジのマドレーヌ”と王子の“紅茶とオレンジのマドレーヌ”。
    今日の日付。
    王子の台詞に登場した菓子のラインナップ。


    ……!!

    順に、“あなたが好きです”、“あなたは特別な人”、“幸せが長く続きますように”。
    そしてマドレーヌは、“あなたともっと仲良くなりたい”。
    外耳が即座に色付いた。正面を見られず、顔を逸らしコーヒーを呷る。柘榴石と土耳古石の眼差しが温かく見守る。

    「……そろそろ、いいかい?」
    くすり、と笑んで王子が続ける。
    「このマドレーヌ、どちらがクラウチ作か当ててみてくれないかい?」
    「はぁぁあ!?」
    「当ててくれるよな、水上」
    真っ直ぐに曇りなき瞳を向ける蔵内に、返す言葉が見つからない。

    いやいやいや、これ、間違まちごぅたらあかんやつやん。

    瞳は輝いても、目が笑ってないからだ。滝汗が背中を流れ落ちる。数度、深呼吸を繰り返し、姿勢を正す。琥珀色の双眸がすう、と半眼になった。両手を合わせ、一礼する。

    「ほな、よろしくお願いします」

    まずは、蔵内のチョコマドレーヌ。
    しっとりとしたブラウニー寄りの生地に、オレンジキュラソーとドライオレンジが合っている。濃厚なカカオだが、後味は爽やかだった。
    そして、王子の紅茶のマドレーヌ。
    こちらは軽めの食感で、オレンジも控え目でダージリンを主役にしていた。鼻腔を抜ける、フレーバーティーのハーモニーを堪能する。


    ひとくち、ひとくちと、噛みしめる。水上のコーヒーが空になっているのに気付いた蔵内が、いつの間にかお代わりを用意してくれていた。
    一つずつ食べ終えた水上が最後にコーヒーを飲み切って、ほぅ、とほろ苦い息を吐く。


    「………………。……あんなぁ………」


    期待と不安の入り混じった二組の宝石がじっ、と射抜いてくる。同い年とは思えないいとけなさを感じさせる二人に胸中でひっそりと白旗を上げた。


    やれやれ……。ほんま、敵わへんなぁ……。


    ざかざかと乱雑に代赭色の後頭部を掻き毟り、二人を睨めつける。


    「これ、両方とも……蔵っちやろ」

    ぱぁぁあ…っ!
    そんな擬音語が突き刺さるような直視しかねる眩しい笑顔が満ちる。王子もさることながら、蔵内が泣きそうになっている。
    「み……っ、水上……っ!」
    二人きりなら抱き着いていたであろう恋人が、テーブルの上の水上の拳を両手で包み込む。優しく、強く握りしめ、薄い手の甲をすりすりと親指で撫でる。
    釣られて涙目になっている王子が蔵内の肩を労うように叩いた。
    「良かったねぇ、クラウチ……。“きっと、水上なら判ってくれる”って言ってたものね……」
    「うん、うん……。ありがとう、水上……」
    何度も頷く海老茶色の頭髪を、やんわりと撫でてやる。
    「なんで俺がお礼言われてんねん……。こちらこそ、ありがとさん、蔵っち。めっちゃ美味しかったで」

    恐らく、「例え王子でも、“もっと仲良くなる”のは困る」とでも言ったのだろう。「自分以外の誰からもプレゼントを贈られるのも嫌だ」とも。

    ……何気に、独占欲が強いねんなぁ……。
    ………嫌や、ないけど。


    ふ、と口元を綻ばせる。穏やかな時間が、三者の間に齎される。「あ、そうだ」と不意に思い出したように王子がパシパシと瞬いた。
    「ぼくも、イコさんに渡さなきゃ。クラウチ、行こう。失礼するよ、みずかみんぐ」
    「ああ、約束だったな。済まない、水上。後でまた」
    「水上了解……」
    来た時以上に眩しい喜色に満たされた二人が、その機動力を活かして軽やかに去っていった。「忙しな」と独り言ちた水上は、密やかに笑みを浮かべた。


    「……イコさんも、気張ってくださいよ……」


    優秀な副官からのエールが作戦室まで届いたのか、「どっちも王子やん!美味しいで!ありがとさん!!」と叫んだ生駒が王子をひしと抱きしめて、濃厚な口づけを蔵内の眼前で披露するまであと三分。










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    真砂長文倉庫

    DONE王子ハピバ!今年は当日お祝いできたぞ!やったね!
    去年の蔵王と同様、ワインとケーキで誕生会。王子二十歳の誕生日。別時空です。
    それぞれのお相手への王子の差異を書くのが楽しいです。
    CPじゃなくても仲良しなのが好きなので蔵水がっつり出てきます。

    王子誕は香水をテーマにすることにしました。だから来年までに蔵っちとみんぐの香水プリーズ!
    王子は何回も二十歳になって羨ましいw
    (初出:20240111)
    王子誕2024イコプリ「Everything is OK」 警戒区域からほど近い1LDKの単身者用マンションには、三門市立大学に通う生駒と水上、そして隠岐が隣同士で暮らしている。
     年の瀬が近づいてきた今日、生駒宅の玄関には住人の他に二足分、持ち主の異なる靴が並ぶ。一足は少しだけ踵のすり減った代赭色のスニーカー、もう一足は手入れの行き届いた暗褐色の革靴だった。個室のローテーブルに置かれたノートパソコンの画面を生駒・水上・蔵内が取り巻いている。

    「王子のイメージはやっぱり青や思うんやけど、そんな色のケーキある?」
     生駒はブラインドタッチが不得手というより雨垂れ打ちに近いため、入力担当は副官である水上である。スクエア型ハーフリムタイプのブルーライトカットグラスをかけ、キーワードを入力した。
    6226

    真砂長文倉庫

    DONEブックサンタのpixiv版がある(しかも二次OK)と知り、本命CPにメリクリして貰いました。
    (高1~高2設定)
    定番のクリスマスソングを参考にしたのですが、コレ失恋ソングなんですね。優しい雰囲気だったのでハピエンだとばかり思っていました。
    やっぱり推しには倖せでいて欲しいので、歌詞のイメージをアレンジしました。

    メリークリスマス!


    年末を機にこちらに移動。

    (初出:20231223)
    クリスマス2023蔵王「Last Christmas and... 」 防衛任務後、ボーダー本部を後にした蔵内と王子は蓮乃辺駅前に赴いていた。隣接する三門市における三年半前の大規模侵攻で一時期規模を縮小していたクリスマスイルミネーションが、漸く以前と同レベルに戻ったからである。駅前のロータリーには五メートルに及ぶ現代アーティストによるクリスマスツリーが据えられ、上品且つ華やかに彩られていた。そこから放射線状に広がる幾つかの大通りにはテイストの異なる電飾が施されていて、訪れた人々の目と心を楽しませている。更に、クリスマスソングがオルゴール版にアレンジされ、心地良い調べが街灯に設置されたスピーカーから控え目に降り注ぐ。
     ある柔和なメロディーがオルゴールで奏でられると、オブジェを撮影していた蔵内の脳内に伸びやかな歌声が想起された。そして、その歌詞も。
    3723

    真砂長文倉庫

    DONE今年もボージョレ解禁でゲットした「オレンジワイン」の色がみんぐ色(はい?)だったので、連想してみました。蔵水とも迷ったのですが、ワインは王子のイメージだったので久しぶりの王水で。

    当日書くつもりでしたが、一瓶飲んで寝てました。出産後の断酒を経験すると加齢もあってめっきり弱くなったなぁ。
    酒は飲んでも飲まれるな。(ブーメラン)
    オレンジワイン王水「nouveau dessert」「やぁ、お邪魔するよ」
    「…………入れや」
     ここ数日でめっきり冷え込んだ玄関での問答は無意味だ。
     招かれざる客ではあったがその両手に抱えられた物を視界に捉えると、琥珀色の双眸が酷薄に輝いた。その光を凌駕する土耳古石の所有者は悠然と微笑む。勝手知ったる恋人の家のリビングに入り、ローテーブルに荷物を置いた。ふわりとスパイシーな香りが舞う。そのまま瑠璃色の上着と濃紺のスヌードを壁際のハンガーにかけ、手洗いと嗽を済ませてテーブル前に座した。ちゃっかり引っ張り出した座布団を敷いている。

    「時間ぴったり、かな?」
    「約束も連絡もせんで、『ぴったり』もあらへんやろ」
     そうは言いつつも、水上の空腹具合をぴたりと見計らって来るのが王子であることを知っている。そう水上が思っていることを王子も知っている。それは、六年前の春、高校入学時に出逢った頃から肌で感じていたことだ。知人・友人・恋人とクラスチェンジした今でもそれは変わらない。嫌悪・共感・親愛の比率が多少変わったくらいだ。変動制であるそれの現在の比率は7:2:1である。
    1973

    真砂長文倉庫

    DONE2024カレンダーに脳を焼かれて書きました。
    高3夏休み設定他色々捏造していますので、ご注意ください。
    弓場隊・王子隊全員の動向を追ってみました。

    そしたらどんどんキャラ増えた……www最早CP詐欺だろコレ。済みません。

    皆、倖せであれ。

    蔵っち、も一度誕生日おめでとう!
    蔵誕2023蔵王&ワンドロワンライ「夏祭り」(15.5時間) 『Holiday Snapshots』「ほら、できたぞ」
     ぽんぽん、と角帯を叩いて終了を知らせる。
    「どう?似合うかい?」
     くるりと身体を翻す。藍鼠の小千谷縮に銀鼠の帯を合わせた王子が、まだ唐茶色のシャツと亜麻色のアンクルパンツを纏う蔵内に問う。立てていた右膝を伸ばしていつもの視点に回帰すると、蔵内は数歩下がった。
    「ああ、似合うぞ」
     腕を組み目を細め、軽く首肯した。柘榴石が柔らかく輝く。八畳間の片隅にある、衣文掛けに掛けられた鉄紺の小千谷縮を携えようとする蔵内を、軽く制する。
    「ぼくもやってみたい。いいかい?」
     きらきらと輝く土耳古石。厚めの唇が綻んだ。
    「勿論、どうぞ。しかし、それなら俺が先に着付けて貰ったほうが良かったかな」
     無論、一般家庭で育った王子に着付けの経験はない。それでも、黙々と自分を着付ける蔵内の手際の良さに魅了され、やってみたくなってしまったのだった。だから、その提案には意味が無かった。配慮に感謝しつつ、憂慮を打ち消す。
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