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    michiru_wr110

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    michiru_wr110

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    anzr
    夏メイ+秋元
    日常アカに掲載したヘッダー用SS

    #夏メイ
    #anzr男女CP
    anzrMaleAndFemaleCp

    キスの仕方について(夏メイ+秋元)「み、見るな頼むから……!」

     夏井は声をひっくり返しながら叫ぶ。予告もなしに訪れた秋元が夏井の自室内、背後で点灯したままのモニターを凝視していたからだ。
     作りたての炒飯入りのタッパーを握りしめながら、後輩は悪気なく呟く。
    「[キス 仕方]……」
    「口に出すなよ」
     モニターに映し出されていたのは、検索エンジンのサーチ結果一覧。
    「誰と……?」
    「言うか」
    「恋人がいることは認めるんですね」
    「あっ………………」
     紅潮した顔を覆って項垂れる先輩の慌てふためく様を見て、秋元は考えを巡らせる。
     秋元は夏井のおおよその交友関係を把握しているつもりだった。夏井へ好意的な視線を送る者には何名か心当たりがあるが、無難な営業用の笑みが崩れる人物は一人しか浮かばない。

     もしも相手が“彼女”だとすれば。シチュエーションも何も気にせず、きっと夏井のありのままを受け入れてくれるのではないだろうか。強引に事を進めようとするなら話は別かもしれないが、決して短くない付き合いの中で無粋な言動をする可能性は限りなく低いと、秋元は思うのだ。

    「気にしなくても大丈夫ですよ、きっと」
    「無責任なこと言うなよ」
     しかし夏井は、どこか恐れるような声色で言う。
    「……下手に刺激したくないんだ」
    「恋愛経験がない、とか?」
    「記憶を失くす前に……嫌な想い、していたかもしれないだろ」
    「え?」

     白状した内容に、秋元はまず目を見開く。その後浮かべた邪気のない笑みからは、二人を純粋に祝福する喜びが滲んでいた。
    「メイさんだなんて一言も言ってませんが、おめでとうございます!」

     何といじらしいことだろう。ともすれば雰囲気や勢いに任せたところで誰からも責められないというのに。今も繊細に相手を慮った行動を取り続けていることが窺い知れて、秋元は素直に感心した。

    「…………………………っ」

     後輩は、いたたまれず俯いた先輩の心境など知らずに言い募る。
    「メイさんは、本当に愛されているんですね!」
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    michiru_wr110

    DONEanzr
    夏メイ(のつもり)(少し暗い)
    2023年3月20日、お彼岸の日の話。

    あの世とこの世が最も近づくというこの日にすら、青年は父の言葉を聞くことはできない。

    ※一部捏造・モブ有
    あの世とこの世の狭間に(夏メイ) 三月二十日、月曜日。日曜日と祝日の合間、申し訳程度に設けられた平日に仕事以外の予定があるのは幸運なことかもしれない。

     朝方の電車はがらんとしていて、下りの電車であることを差し引いても明らかに人が少ない。片手に真っ黒なトートバッグ、もう片手に菊の花束を携えた青年は無人の車両に一時間程度揺られた後、ある駅名に反応した青年は重い腰を上げた。目的の場所は、最寄り駅の改札を抜けて十分ほどを歩いた先にある。
     古き良き街並みに続く商店街の道。青年は年に数回ほど、決まって喪服を身にまとってこの地を訪れる。きびきびとした足取りの青年は、漆黒の装いに反した色素の薄い髪と肌の色を持ち、夜明けの空を彷彿とさせる澄んだ瞳は真っすぐ前だけを見据えていた。青年はこの日も背筋を伸ばし、やや早足で商店街のアーケードを通り抜けていく。さび付いたシャッターを開ける人々は腰を曲げながら、訳ありげな青年をひっそりと見送るのが恒例だ。商店街の老いた住民たちは誰ひとりとして青年に声をかけないが、誰もが孫を見守るかのような、温かな視線を向けている。
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