日本印度化計画タケルはメモを片手に歩いていた。その横で、メモを覗き込むようにして漣も歩く。彼らの距離の近さは今更だ。兄弟のように並んで2人は歩く。
「にんじん、じゃがいも、たまねぎ、牛肉……小間切れ」
メモを覗き込んでくる漣に聞かせるように、タケルがその内容を読み上げる。
その内容について2人はしばらく考えたあと、期待の滲む声で確認しあう。
「これは……」
「カレーだろ。カレー」
「だよな。カレーだ」
今日は道流の家で夕飯だ。2人はその夕飯の買い出しだった。
「にんじん、じゃがいも、たまねぎ……よし」
野菜売り場でメモに書かれた野菜をカゴに入れ、肉売り場へ。
「……チキンカレーもうまそうだな」
「牛肉って書いてあるだろ」
「でも、小間切れって食いごたえなくねえか?」
「それもそうだな……これも足すか?」
そう言って、ブロック肉もカゴへ。
これでおつかいは終わり。の、はずなのだが。
「あ!オレ様エビ入ったカレーがいい」
海鮮売り場で漣が足を止める。そのまま、エビをカゴに放り込んだ。
「オマエな……まぁいいか。…………オレも、イカを入れてもらおう」
イカもめでたく仲間入り。
「ナスもあったほうがよくねーか?」
「…………戻るか。ナス、食いたい」
そうやって、しばらく店をうろついていた。
「ただいま、円城寺さん」
「買ってきてやったぜぇ!らーめん屋!」
「おお、おかえり。ありがとうな」
そう言って手渡された袋を見た道流が首を傾げる。
「ん?なんだ?エビとかナスとか……」
「ああ、それも入れてもらおうと思って……」
「んん?」
「あ?」
「……ダメか?」
「ダメというか……」
「なんだよ、カレーって簡単に具、足せねぇのか?」
「いや、カレーというか、ああ、なるほど」
合点が言ったように道流が笑う。
「…………今日は肉じゃがだったんだが」
「は?」
「え?」
「ははははは!そうだな、カレーだと思うよな!わかった、今日はカレーにしような。だから、ルーを買ってきてくれないか?」
こうして、2人は再度スーパーへ。
「オマエがカレーとか言うからだろ」
「チビもそう言ってたじゃねーか」
今晩は、カレー。