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    85_yako_p

    カプ入り乱れの雑多です。
    昔の話は解釈違いも記念にあげてます。
    作品全部に捏造があると思ってください。

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    85_yako_p

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    薫輝。消失マジックの逆です。出現マジックであってますか?
    100本チャレンジその2。(2021/11/25)

    ##100本チャレンジ
    ##薫輝

    消失マジックの逆 消失マジックの逆って、出現マジックでいいんだろうか。定期的に、それを見せられている。
     会場は夢の中。主演は桜庭。俺はパジャマで観客席に座り、たったひとりそのショーを独占していた。
     桜庭は星屑のようなラメの入った、タキシードにおとぎ話を混ぜたような服を着て、大きなシルクハットを手に持っている。そうして、シルクハットから、ありとあらゆるものを取り出してみせる。
     昨日はハサミを出してもらった。そうすると、現実世界にハサミが現れるって寸法だ。何も、俺の引き出しに送り主不明のハサミが増えるわけではない。そのままの意味なのだ。現実世界にハサミが生まれる。さらに言おう。桜庭がシルクハットから取り出すまで、『現実世界にはハサミがない』
     気がついているのは俺だけだ。他の人に聞いたって誰も知らない。ただ、桜庭にだけはなんとなく聞けなかった。俺はプロデューサーが定規を当てて必死に紙を裁断しているのを見て、ああ、今日はハサミを取り出してもらおうとか、そういうことを考えるのだ。
     いろいろなものを出してもらった。ハサミ、水筒、あと、食べたくなったから羊羹。他にもたくさん。
     もう世界には不足はないように思える。そこまで考えて、俺は致命的にこの世が欠けていることに気がついた。現実で桜庭を巻き込んだ翼の誘いを断ってまで、夢の中の桜庭に会いたかった。
    「さて、今日は何を取り出そうか」
     たったひとりの観客に向けられた言葉。俺のために世界を満たす、神様のような男。
     神様、あとひとつ、ください。奪ったのであれば、とっとと返してくれ。
    「言葉を取り出してくれ」
    「……望む言葉は?」
     柔らかく、目の前の男が笑う。やっぱりコイツは桜庭じゃなくて、俺は桜庭に望んでいるものがある。
    「愛してる、って。言わせてくれよ」
     存在していないことに気がついて、これほどまでに不自由だったものはない。
     罰ゲームの風船のように膨らんだシルクハットは当然のように弾けて、宝石のような星々をステージにばらまいた。
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    85_yako_p

    DONEかなり捏造多めなタケ漣です。自分の知らない一面をなかなか信じたくないタケルの話。猫が死んでます。タケ漣とするか迷いましたが、タケ漣でしょう。(2024/10/12)
    野良猫の憂鬱 予感がした。それだけの単純であやふやな理由で俺はわざわざ上着を羽織って夜に踏み出した。目的地なんてあるはずもないのに、足は路地裏に向かっていた。
     歩けば歩くほど無意味に思える時間に「明日は朝から雨が降りそうだから、アイツを家に入れてやらないと」と理由をくっつければ、それはあっさりと馴染んでくれた。そうだ、俺はアイツを探しているんだ。訳のわからない予感なんかじゃなくて、でも愛とか同情でもなくて、この意味がわからない焦燥はアイツのためだ。
     明日が雨予報だってのは嘘じゃないけど、今夜は晴れていて月が綺麗だった。だからアイツがいたら一目でわかるはずだし、パッと探していなかったら今日は捕まらない。だから、と自分の中で線を引いてから路地裏を見ると、いつもチャンプが日向ぼっこをしているドラム缶の上にアイツがいた。片足をだらんと垂らして、片方の足はかかとをドラム缶のふちに乗せている。そうやって、何かを抱き抱えるように瞳を閉じている。
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