最期に。(ゲタ無印/隼武) 俺しかいなかったんだ。ゲッターと死ねる人間は。ゲッターと一緒に死ぬなら、それは、絶対に俺だった。
ゆっくりと、格納庫に足を踏み入れて。見慣れた三色のマシンに、撫ぜるように触れる。冷たい感触は指に馴染んで、…これが最後だなんて嘘みたいだ。そんなことを思いながら、小さく笑う。機体の鮮やかな色合いが、滲んで掠れた。
これが、最後。
…これで、最期。
浮かんだ思いに、今度は苦笑した。こんな感傷的なのなんて、俺の柄じゃない。わざと乱暴に目をぬぐってから、顔を上げた。空を覆うのは、今まで見たこともねえような、無数の敵。地上にも、やっぱり数えきれねえくらいの敵が、研究所に向かってきているのが見えた。…嗚呼、やっぱり必死なんだ、あっちも。ゴールたち、ハチュウ人類も。
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