【お題】 夏空 バス停 サイダー蝉が鳴いている。汗が垂れて地面に落ちて溶ける、青い空は太陽をキラキラと輝かせてこちらを火炙りにしている、バスが来るまでまだそれなりに時間がある、アイツはまだ来ない。いつもアイツは遅刻するから、バスが来る時間よりもかなり早めに集合時間を決める、それぐらいだと遅刻してきた時に普通の集合時間くらいになる。でもたまにすごく早く来ることもあるから俺も遅刻して行く、とかはできない。でも今日は失敗だった、それも大失敗。バス停の屋根は日光を防いでもこの暑さを防いではくれない。この暑さをどうにかしたくて髪を結び直す、頭に熱が溜まっていたのか髪を解くと少し涼しくなった気がした、のも束の間すぐに首に張り付いて体温が上がる、髪をさっきより若干高い位置にまとめ上げる、これで少しはマシになると良いけど。時間を見る。後ちょっとで親友は来るだろう。夏になりたてはいつもこうだ、夏の暑さを忘れて油断してしまう。額に手を当て目を閉じる、蝉が鳴いている。夏の晴れた空気の匂いがする。不意に頰に冷たい物が当たった。「うわっ!?」目を開けるとニヨニヨと笑っているポーランドとその手に握られている炭酸飲料が目に入った。「リト、間抜け面だし〜」そしてもう一つの炭酸飲料が頰に当てられている、暑さが頰から軽減されていって心地がいい「ちょっと、やめてよポーランド、すごいびっくりしたんだけど〜?」あくまで咎めるように言うと彼は心底楽しいと言うように笑みを深くした。「今日暑かったからこれ買ってきてやったんよ!感謝するといいし!」頰にグイグイとサイダーを押し付けてくる。「ありがとう、ポーランド」サイダーを受け取って額に当てる、涼しい「今日ほんとに暑いし、、、溶ける、、、」バス停のベンチに座ってバスを待つ。アイツは人がいないのをいいことにベンチに寝転がっている。蝉がうるさいくらいに鳴いている。「そうだね、ほんと、溶けちゃいそう、」ペットボトルを開けてサイダーを一口飲む、爽やかな味が口いっぱいに広がって、喉が渇いていたからなのかとても美味しく感じた。車の音が遠くから聞こえてきてバスの到着が近いことを教えてくる。「バス、来たんじゃない?」ベンチで伸びているポーランドに声をかける、「おこせし、、」差し出されたポーランドの手を引っ張り起こして丁度到着したバスに乗り込んだ、一気に冷気を浴びる、思わず息が溢れた。「「涼しい、、」」息と一緒に言葉も零れ落ちていたようでポーランドと声が重なる、揃った声に思わず笑いがこぼれる。涼しくなってきたので髪を下ろす。椅子は椅子でもベンチとバスの椅子じゃ大違いの快適度だ、そういえば「ポーランドは髪結ばないで暑くないの」「暑いんよ、だから結んでくれん」可愛いいちごのヘアゴムを差し出して反対側を向くポーランド、髪を結ぼうとポーランドの髪に手を伸ばす、髪がサラサラで触っていて飽きない、ポーランドの髪を結ぶ時つい必要以上に触ってしまう、手櫛でこの髪のサラサラを堪能する。「リト、遊んでるん」訝しげな声が聞こえてきて慌てて髪を結うために髪をかき集める。「ごめん、ポーランドの髪サラサラだから触りたくなっちゃうんだよね。」「ならいつでも触っていいし〜」褒められて嬉しくなったのかそれともあんまり怒っていなかったのか、上機嫌な言葉を発したポーランド、ポーランドの髪の毛はサラサラだから自分の髪より少し結びにくい。「はい、終わったよ」ポーランドがこちらを振り返る「ありがとうだしー」ふと疑問が頭から転がり落ちる「そういえばなんで髪結んでなかったの自分でヘアゴム持ってたのに、」ポーランドはヘアゴムの苺を触りながら答えた「リトに結んでもらおうと思ってたんよ!」「なんでよ〜」そろそろ降りるバス停だ、「今日はどこ行く」「新しい季節限定のやつが食べたいんよ」「いいよ」今日も俺の家でお泊まりするんだろうな、ポーランドに手を引かれながらぼんやりと考える、遊んだ日はいつもお泊まりをする。今日の夜ご飯の具材を帰りに買ってっちゃおう。蝉がうるさく鳴いていた、夏のとある日のお話。
ポーランド、髪の毛を触られるのがちょっと嬉しくてリトに髪を結ばせてる節がある。