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    hairia_hairia

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    明治軸 嫌いな食べ物 上等兵ズ

    #尾た尾め2024
    #尾形百之助誕生祭2024
    #尾形百之助生誕祭2024
    #明治軸
    #上等兵ズ
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    #しいたけ

    シイタケ 俺は椎茸が嫌いだ。なぜかと言われると、よくわからない。いつの間にか嫌いになっていた。しかし、兵役の献立には、よく椎茸が出る。体に良いから出るのだろうと思うが、嫌いなものは嫌いだ。今日の夕飯は筑前煮で、もちろん、椎茸が入っている。残すことは許されないので、配膳の時に別の皿に移してみた…そっと、誰にも気づかれずに、お手のものだ!ははぁ、どんなもんだい。しかし、二階堂なんぞは、椎茸を美味そうに食べている。なにが、そんなに美味しいのか、さっぱりわからない。しかし、よく考えてみたら、昔はそんなに嫌いではなかったはずだ。むしろ、好きだったのではないかと思う。では、なぜ…

     その少年は、シイタケが大好きでした。どんな料理にもシイタケを入れてほしかっ
    たのです。なので、母親から「夕飯にはシイタケをつかいましょうね」と言われると目が輝くのでした。
     ある日、母親の料理を手伝っていました。「しいたけ、しいたけ、しいたけ」と呟きながら、干しシイタケの入ったツボに手を突っ込みました。手にいっぱい干しシイタケを握りしめて、それから、手を抜こうとしましたが、壺から手が抜けません。一度押してから、また引っ張り、さらに強く引っ張ってみましたが、やっぱり手はツボから抜けません。手を緩めてシイタケをこぼしたくないので、どうしても引っかかってしまうのですシイタケを食べたいのにこれでは食べられません。少年は泣き出してしまいました
    それを見た母親は「百之助」と声をかけ、当たり前のことを注意しました。「お前の手に握っている干しシイタケを半分だけにしたら、簡単に手が抜けるよ」少年は半分だけしか食べられないのが悔しくて、一杯干しシイタケを握ったまま手を開こうとしませんでした。母親は続けました「百之助、どちらにせよ干しシイタケは水戻ししないと食べることができないんだよ。あきらめなさい」
     少年は愕然としました。目の前に大好きなシイタケがあるのに、食べることができないなんて…やっぱり、俺では駄目か、シイタケからも嫌われて。なら、俺だってシイタケなんか…少年は、干しシイタケから手を放しました。壺から手は抜けましたが、干しシイタケを手に取ることはありませんでした。結局、夕食にシイタケは出ませんでした。その夜、少年は胸の内に大きな石を抱えたような苦しい気持ちで床に就きました。常に中々眠れずにいるのですが、今日はいつも以上に眠ることができませんでした。その後、少年がシイタケを乞うことはありませんでした…

     「ひゃくのすけ。おーい、ひゃくのすけ!」

     ふっと我に返ると、隣で宇佐美が俺の名前を呼んでいた。

     「どうしたの、ぼーっとして。ご飯、きてるよ」
     「いや、別に…何も」
     「おなかすいたのかな~。よしよし、そんな腹ペコ百之助のため、
      僕からこれをあげよう」

     宇佐美はニヤニヤしながら、自分の皿から箸で椎茸を掴み、俺の皿に入れた。

     「わ、お前、なにを!」
     「え~、だっておなかすいてるんでしょ。好意は甘んじて受けるべきだよ」
     「好意って!お前も、椎茸が嫌いなんだろうがぁ!」
     「そんなことないよ~。僕はね、おなかをすかせた百之助のため、そして…
       近々のお前の誕生日にね、贈りもの~だよ。
       優しいね、僕…ありがたく思え」

     宇佐美は、口角の上がった口でしゃべるだけしゃべっていたが、その眼は笑ってはいなかった。宇佐美は話し終わると前を向いて、椎茸抜きになった筑前煮を美味しそうに食べ始めていた。俺の夕飯は、椎茸入りの筑前煮に変わっていた。

     …やっぱり、俺は椎茸が嫌いだ…俺は、隣に座っている谷垣をじっと見つめた。
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    DONE現パロ オフィスラブ 片思い 名前のこと
    その人の名前は 今日から新しい職場へと配属になる。気分を引き締めたくて、メイクは深めの暖色系でまとめてみた。少しはキリっとなったなと、鏡の中の自分に自画自賛する。新しいことが始まる時はもちろん緊張もするが、なにか胸躍ることも起こるのではと嬉々とした高揚感も感じることができる。我ながら、この前向きな性格がありがたいと思う。
     配属場所へと出向き、部署総括の鶴見部長に今日から配属となります、よろしくお願いしますと挨拶をした。鶴見部長はよろしくと一言だけ言い、皆に私を紹介してくれた。その後、月島課長から部署の概要説明を受けたあと、

     「夢主さんの指導係は、そうだな…ヒャクノスケでいこう」

    ヒャクノスケ⁉頭の中に奇妙を表す符号が飛んだ。それもそのはず、若い人が大半の部署と聞いていたからだ。しかし、私が勤めている会社は、かなりの歴史があると聞いているので、部署にベテランの人がいてもおかしくない。どんな、お爺ちゃんがやってくるのかと思っていたら、呼ばれた彼は、白い肌に黒い大きな瞳、整った鼻筋に髭を生やし、髪はオールバックに整えられて、濃紺色のスーツは本人のためだけに作られたのではと思うほど綺麗に着こなしている若い男性だった。さらに特筆すれば、両頬にある縫合跡がどこか憂いのある表情を醸し出していた。彼は低く艶のある声でよろしくとだけ言って、仕事の説明を始めた。尾形百之助、古風な名前に興味を持ったが、それ以上に存在自体が私の好みで…一目惚れだった。
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    hairia_hairia

    DONE学パロ 片思い 堀辰雄『燃ゆる頬』の一部を改作
    実験室  昼休みも中頃に差し掛かっていた。お気に入りの場所というのは、人を穏やかに上機嫌にしてくれる。それが、ここ植物実験棟の東側にある花壇である。その中を一人で佇んでいると、花壇に咲いてある名も知らぬ花々から、一匹の蝶が飛び立つのを見つけた。蝶は、足に濃橙色の花粉を付けて、愛らしく飾り立てているように見えた。私は、着飾った蝶が次にどの花へゆくのかを、見てみたいと思った。しかし、蝶はどの花にも止まらず、しかも、どの花を選べばよいか、迷っているようにさえ見えた。私は、もどかしい気持ちで眺めていた。…次の瞬間、花々が蝶を自分のところへ誘うべく、一斉に花弁を開き、自らの雌蕊をくねらせ、見せつけている…気がした。私は、その姿態に驚きと気後れを感じたが、気が付けば高揚感に包まれ目を奪われていた。そのうち、蝶はある花を選び、着飾った足でその柱頭にしがみついていた。体を託すように止まる蝶に、花は自ら花弁を動かして蝶をやさしく愛おしむよう包み込んでいた…。やがて、蝶は花を振りほどくように、飛び立っていった。気が付けば、その場には私ひとりきり…先ほど感じていた高揚感から、なんとも低迷な居心地の悪い気持ちへと変わっていた。折角のお気に入りの場所でこんな気持ちになるなんて…暗澹とした気持ちを払拭すべく、目の前の受精を終えたばかりの花をぐちゃぐちゃにしたくて、手に取ろうと…
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    hairia_hairia

    PAST
    衣装お試しにあげてみた。現パロハロウィン X投稿済み

     尾形が言った、ハロウィンなんて行事は聞いたことはあるがやったことがないと。皆で着飾って楽しく過ごすお祭りだよと、微笑みながら説明してみた。クローゼットから出してきた衣装を見て、そんなもんか…と着始める尾形。頭からすっぽりかぶる白のゴーストマント、首に赤い鈴をつけた黒猫の着ぐるみ、骸骨が全身にプリントされた黒の全身タイツ、白黒ボーダーの囚人服、アラブの石油王など、何でもありで着こなしてくれる。いつもなら、文句の一つも言う尾形が、今日は静かでむしろ従順あるいは楽しそうである。それならば…ハロウィンでは大人シックな恰好もするんだよと、クローゼットの最奥から、袖口にフリルをあしらった白いシャツ、カーキ色のベスト、黒みがかったグレーのコートに同色のブリーチズの中世悪魔風衣装を出し、尾形に渡してみた。戸惑いながらも着始める尾形。着終わった彼は、こちらを振り返りどうだと言わんばばかりの表情で、前髪を後ろへ撫でつける。その姿は、最初から着ていたようにしっくりとなじんでいた。しかし、その姿に不可解を覚える。尾形は編み上げの黒いブーツを履いている。ここは家の中ではと思ったが、それ以上に頭とお尻にあるものは…なに?そんなものまで、揃えたむしろ渡した覚えはないと。目線を尾形の顔に向けると、彼の深く黒い瞳がじっとこちらを見据えている。
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