「わっ…!」
角を曲がろうとした瞬間、なにかにぶつかってしまいつい目を閉じた。すぐ側でなにかが倒れるような音がして目を開ければ、そこには床に尻もちをついて俯く東雲がいた。
どうしてここに…。帰ったんじゃなかったのか?
「東雲!?す、すまない…!大丈夫か…?」
直ぐに屈んで東雲の様子を見た。特に返事はなかったので、一先ず散らばってしまった東雲の鞄の中身を拾ってまとめる。荷物をまとめて差し出してみるが、東雲は相変わらず俯いたまま動かない。様子が変だし、何故か制服が少し乱れている。
「東雲…?」
「……」
また返事がない。この距離で聞こえていないなんてことは無いだろう。
そして、耳をすましてみれば小さく聞こえてくる喘鳴。もしかして…
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