待ちわびる 十二の時、突然兄ができた。最初は距離を置いていたが、兄と慕い、いつの間にか恋をしていた。
この人は私を弟としか見ていない。きっと恋人にはなれないだろう。それならせめて……と思い、父と共にこの家を出ると聞かされた夜に「私に房中術を教えてください」と口にしてしまった。
私の気持ちに気付いたのか、それからしばらくこの家に帰ってくることはなかった。今となっては、何故あんなことを口走ってしまったのだろうと後悔している。
だから、始めからやり直すのだ。今度は自分の気持ちを伝える。
だから早く帰ってきて、お兄ちゃん。