Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    フィンチ

    @canaria_finch

    🔗🎭を生産したい妄想垢

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 35

    フィンチ

    ☆quiet follow

    ふわっとしたMHパロ、ガノレク🔗×アイノレー🎭の馴れ初め

    #Sonnyban
    sonnyban

    仲良くなれるかな? とある村のアイルーキッチンで働き始めたアルバーンには悩みがあった。仕事自体は新入りということもあって覚えることも多く大変ではあるが違り甲斐がある。コック長は厳しくも懐の大きいアイルーであるし、手が足りてないようだと働き口として紹介してれたギルドの職員も何かにつけて気にかけてくれている。それならばいったい何が彼を悩ませているのかというと、その理由は常連客であるハンターの連れているオトモにあった。
    「いらっしゃいニャせ!ご注文おうかがいしますニャ」
    「おっ、今日も元気に注文取りしてるなアルバにゃん」
    「いいからとっとと注文するニャ」
     軽口を叩きながらにっこりと愛想の良い笑みを浮かべてハンターを見上げるアルバーンは、傍らに控えているガルクからの視線にとにかく気付かない振りをする。そう、このガルクはやってくるとずっとアルバーンを見てくるのだ。しかも、目が合っても全く逸らさない。ガルクの言葉など分からないから当然会話も成立しない。初めて気付いた時には驚きつつもにこりと笑いかけてみたのだが何か反応がある訳でもなく、それはそれは気まずい思いをした。だからそれ以来、気付かない振りをして相手の出方を窺っているのだが、今日も変わらずその視線はアルバーンを追っているようだった。
     オーダーを伝えにキッチンに向かう間にも背中にひしひしと感じる視線。気のせいでなければ彼の主と会話をした後には特にその圧が強まる気がする。これは、もしかしなくてもヤキモチを焼かれているのでは?
     思い当たる節はあった。以前に何かの話の流れであのハンターに頭を撫でられたことがあったが、店から出た直後に彼があのガルクを宥めている姿を見かけたのだ。あれは、自分を差し置いて他の奴を構うとは何事かという不満によるものではないだろうか。
     だとすると、これは非常に困ったことになる。キッチンアイルーとして雇われている身ではあるが、まだ見習いのアルバーンの仕事は接客が主だ。だからお客と関わらない訳にはいかないし、急に態度を変えるのも不自然だろう。そもそも、普通に注文を取っていても視線は向けられるのだから回避のしようがない。
     それに、やはり自分よりも身体の大きい獣にずっと見られているというのは落ち着かないし正直に言えば怖くもあった。あちらはハンターの狩りにも同行するような手練れだが、アルバ ーンはハンターを目指している訳でもない非力なアイルーなので絶対的な力の差が存在する。仮にもハンターのオトモであるのだから襲われるなんてことはないだろうが、それでも怖いものは怖い。そんな視線に日々晒されているものだから、アルバーンの精神的疲労は着実に溜まっていっていた。
     このままではいけない、仕事にだって支障をきたしてしまう。そう考えたアルバーンは今の職場を紹介してくれたギルドの職員一浮奇に相談を持ちかけた。彼は件のハンターとも親しいようだから何か妙案を出してくれるかもしれない。そうでなくとも力にはなってくれるはず。そう思っての人選だったのだが、話を聞き終えた彼の反応は予想外のものだった。
     頭が痛いと言わんばかりのこめかみを押さえる仕草にアルバーンが呼びかける。
    「浮奇…?」
    「ああ、ごめん。まさかそんなことになっているとは思ってなくて」
     事情を知っているような口ぶりから伝わってくるのはどこか呆れているような気配だったが、それだけでは不安は拭えない。むしろ、自分だけで解決できないことへの申し訳なさすらある。そんな感情からアルバーンがしょんぼりと肩を落としていると、浮奇は 安心させるように柔らかな声音で語りかけてきた。
    「俺の知ってる限りではあの子にそんなつもりはないはずなんだけど、怖い思いをさせて悪かったね。ちゃんと伝えておくよ」
     あの子というのはきっと例のガルクのことだ。浮奇が謝ることではないし、恐怖を覚えたのは本能的なものであるからとアルバーンはすぐに首を振る。すると、その様子に何か思うところがあったのか困ったような笑みを浮かべて今度は問いかけられた。 「アルビーはあの子がどうしてこんなことをしたのか知りたい?」
     知りたいかと問われれば、不思議には思う。ただ、知ってどうにかなるかも分からないとも思いはする。きっと、事情など知らなくていいから止めてほしいと言っても浮奇は頷いてくれるだろう。でも理由を知って、そこから良い方向に進むことが出来るのなら。
     一度だけこくりと頷くと、アルバーンの頭が優しくぽふりと撫でられた。





     さっそく話し合いの場が設けられたのはその翌日。何を言われるのかと緊張していたアルバーンを待っていたのは、平謝りする件のハンターと、その隣で見るからに気落ちしているガルクの姿。普段の精悍さが見る影もないその様子に、驚きつつも少し可哀想な気がしてしまう。
    「すまんアルバにゃん、俺の配慮不足だ」
    「そ、そんニャ頭を下げニャくても…」
     あくまでも事情を聞きに来たのであって謝ってほしい訳ではないのだが、ストレートに言っては謝罪を突っぱねているようでなんとも言葉選びが難しい。どうしたものかとアルバーンが困っていると、あからさまな溜息の後に呆れたような声が頭上から聞こえてきた。
    「ふーふーちゃん、それじゃあアルビーを困らせるだけだよ。ちゃんと話してあげて」
     見上げるよりも先に、安心させるようにアルバーンの小さな肩に手が置かれる。
    「ん、ああ、そうだな…悪い」
     ハンターの男も自嘲気味にそう口にすると、ひとつ咳払いをしてから表情を真面目なものにしてアルバーンと目線が合うようにしゃがみこんだ。
    「まず、こいつがお前に敵意を持っているとか嫌っているということは絶対にない」
     そう言いながら、傍らで伏せているガルクの頭に男の手が置かれる。声からも彼の真剣さは伝わってきた。けれど、どうしても当事者のものでない言葉をすんなりとは受け入 れられない。ガルクの言葉なんて分からないが、せめてちゃんと確認はしたいとアルバ ーンは視線を下ろす。
    「ねぇキミ、僕の言ってること分かるニャ?」
     しゅんと伏せった状態のガルクにそう問いかけると、まるで返事をするかのように一度だけ力ない鳴き声が返ってきた。こちらがガルクの言葉を分からなくとも、ガルクは人語を理解しているのだ。ならばとアルバーンは更に問いかける。
    「キミは、僕のことが嫌いかニャ?」
     それへの答えは、緩く被りを横に振っているからNOと判断していいはず。雇用主の話に合わせているという線もなくはないが、そこはもう信じるしかない。だからこそ、見極める為にアルバーンはもうひとつだけガルクに問いかけた。
    「じゃあ……僕が仲良くしたいって言ったら…、キミはしてくれるかニャ?」
     そう口にした瞬間、今の今まで伏せっていたガルクが勢いよく身体を起こす。対して、そんな反応をされるとも思っていないアルバーンは驚いた拍子にころんと後ろに転がりかけたのを咄嗟のところでハンターの男に受け止められた。
    「っ…と、おいサニー、危ないだろうが」
     窘める声に再び伏せの体勢に戻ってしまったが、先ほどの反応はアルバーンにとって十分な答えだ。受け止めてくれたことに礼を言って立ち上がり、ガルクの目の前に歩みを進めるとしゃがみこんでその顔を覗き込む。
    「僕は大丈夫ニャ、気にしニャいで」
     すると、声に反応するかのように視線がアルバーンに向けられた。まるで宝石みたいに綺麗な吸い込まれてしまいそうな菫色の瞳。見ないようにしてばかりいたから、こんなことにも気付けずにいたなんて。仕方がなかったとはいえ、随分と勿体ないことをしてしまった。
    「えぇと…サニー?すぐには難しいかもしれニャいけど、キミさえ良かったらこれから仲良くしてくれると嬉しいニャ」
     色々と気落ちしてしまっているようだし、これだけ伝えておこうとアルバーンが話しかけると聞こえてはいるのかワフと小さく返事はある。それがどういう意味なのかまでは判断できなかったが、今日のところはそれでいい。この場を用意してくれたふたりにも改めて礼を言い、最後にガルクに向かって小さく手を振るとアルバーンはその場を後にした。





     それからの二匹がどうなったかというと、アルバーンは悩みも解消されて毎日元気に仕事に励んでいる。そしてガルクもといサニーはというと、始めの数日こそ気まずげにしていたものの、会う度に笑顔でアルバーンが手を振っていたものだから次第にギクシャクとした態度も緩和されていった。
     そして一月経った今では――、
    「ワフッ!」
    「っ!サ〜ニ〜、お疲れ様ニャ!」
     仕事を終え、帰ろうとしていたところで聞こえてきた獣の鳴き声にアルバーンはすぐさま反応する。すると駆け寄ってきたサニーは目の前で足を止め、丁度いい高さにまで頭の位置を下げた。何に丁度いいって?勿論、アルバーンが撫でやすいようにだ。
    「頑張ったニャ〜、イイ子イイ子、な〜でな〜で」
     ふにゃふにゃ笑いながらサニーを撫でるアルバーンは楽しそうで、一月前の怯えていた姿など今は想像もつかない。対して、サニーは気持ちよさそうに瞳を細めて耳を寝かせている。
     そんな風にすっかり打ち解けている二匹を少し離れた位置から見守っているのは、サニーの雇用主であるファルガーと浮奇。だが、その様子は笑顔に見えるにも関わらず少々不自然だ。
    「で、どうするつもり?サニーのあれは『仲良し』とは違うでしょう?」
    「いや…、そうは言うがあの時のアルバにゃんには言えんだろう」
     柔和なはずの顔立ちだというのにどこか凄みのある笑みを浮かべている浮奇の隣で、弱ったと言わんばかりにファルガーは顔を引き攣らせていた。それもそのはず、ふたりの言う通りサニーは始めからアルバーンのことを嫌っていた訳ではないが、仲良くしたがっていたかというとそれも少し違う。サニーが抱いているものは、少なくとも友好からくるものではない。
     そんなやり取りをしている間にも、あちらではサニーから何かを受け取ったアルバーンが嬉しそうに目を輝かせている。その手の上でキラリと光るのはとあるクエストで赴く地で採取することの出来る鉱石。見覚えのあるそれに浮奇はまたかと言わんばかりの表情になり、その視線を受けてファルガーは思わずふいと顔を背けた。
    「ふーふーちゃん」
    「……高価なものは困らせるからやめとけとは言ってあるぞ」
     アルバーンがキラキラしたものを好きだと知ってからのサニーは何かにつけてお土産という名目の貢物をするようになっている。幸いにも価値の有無は関係なく単純に綺麗なものをアルバーンは好んでいたし、希少価値のある素材を贈ることについては早い段階で釘を刺してあったので今のところ大事にはなっていない。だが、それも時間の問題だろう。最近はもっぱら上級クエストばかり受けるものだから採取出来る素材の価値も徐々に上がってきている。それでいつか受け取ってもらえない時がきたら?考えるだけでも頭が痛い。
     求愛するにしても何か別の方法にしてくれないかと思いはするも、それはそれで一悶着ありそうでファルガーの悩みは尽きそうになかった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖💖💖🐶🐱💖💖💖☺❤❤☺☺☺💖👏💯☺🐶🐱☺☺👏💞💞💞💞💞👏👏🐶🐱❤☺💖🐶🐱💎💎👍🐶🐱🐶🐱🐶🐱💕💕💞💞❤💖💖☺☺☺☺💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    フィンチ

    DONEふわっとしたMHパロ、ガノレク🔗×アイノレー🎭の馴れ初め
    仲良くなれるかな? とある村のアイルーキッチンで働き始めたアルバーンには悩みがあった。仕事自体は新入りということもあって覚えることも多く大変ではあるが違り甲斐がある。コック長は厳しくも懐の大きいアイルーであるし、手が足りてないようだと働き口として紹介してれたギルドの職員も何かにつけて気にかけてくれている。それならばいったい何が彼を悩ませているのかというと、その理由は常連客であるハンターの連れているオトモにあった。
    「いらっしゃいニャせ!ご注文おうかがいしますニャ」
    「おっ、今日も元気に注文取りしてるなアルバにゃん」
    「いいからとっとと注文するニャ」
     軽口を叩きながらにっこりと愛想の良い笑みを浮かべてハンターを見上げるアルバーンは、傍らに控えているガルクからの視線にとにかく気付かない振りをする。そう、このガルクはやってくるとずっとアルバーンを見てくるのだ。しかも、目が合っても全く逸らさない。ガルクの言葉など分からないから当然会話も成立しない。初めて気付いた時には驚きつつもにこりと笑いかけてみたのだが何か反応がある訳でもなく、それはそれは気まずい思いをした。だからそれ以来、気付かない振りをして相手の出方を窺っているのだが、今日も変わらずその視線はアルバーンを追っているようだった。
    4584

    related works

    recommended works