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    いちか

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    小鳥に懐かれる話

    雛子のような金の髪の中を何か小さいモノが出たり入ったりしている。それは時々頭を覗かせて、ちるりとその身と同じ位小さく可愛らしい鳴き声をあげた。
    鳶色の小鳥は光の当たる角度によっては淡く桃色を返し、巻き毛なのかここそこの羽毛が毛羽立っている。長い尾羽を揺らし跳び回るそれはユリウスが手を伸ばすとぢっと低く不快な音を立てて指先を幾度も啄んだ。

    「止めた方がいいぞ。それでさっき派手に噛まれたメイムが医務室行きだ」
    「これはラブバードかい……?飼い主に懐く種では無さそうだが」

    アルベールの周囲を跳ねる小鳥はどうもその髪がお気に入りらしく潜るように登り降りを繰り返している。ユリウスの言葉にアルベールは困った様に眉根を下げ、呟いた。

    「そもそも、飼うどころか勝手に付いてきたんだ。俺が実害を被った訳ではないんだが……なんか、こう、示しが付かんというか……」

    確かにかの雷迅卿とあろう者が頭に小鳥を乗せたまま指示を出すというのも滑稽な光景だ。ずっとこのままなのはよいとは言えないだろう。
    ユリウスが思い付いたように手を翳し、何か口の中で呪を詠むと小鳥はそこで動きを止める。それから憑き物が落ちたように二三度翼を大きくはためかせると空いた窓から飛び立っていった。

    「……?行ったのか?」
    「やはり、魔物の魅了毒か魔力に当てられていたようだね。それにしても……」

    小鳥に強く啄まれまだ朱が残る指先を口元に押し付ける。きょとんと此方へ紅い眼を向ける彼の頬へユリウスは一つ口付けを落とした。

    「君に仇なす者に手を下していいのは私だけ、で在りたいんだがね」
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