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    いちか

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    WDログストの話

    コトン、と搭乗している騎空艇の形を模したトロフィーをサイドテーブルに置く。

    「君の言う通り余興に参加してきたよ」

    充分な成果は出しただろう?とユリウスが同意を求めれば、アルベールはベッドに腰掛けたまま半ば自棄とも言えそうな色で頷いた。

    「それにしても団長も凝り性だねぇ……余興だというのにこんなトロフィーまで用意して」

    指先で金属細工で作された帆を撫でる。それを横目に映すアルベールの瞳は紅より色濃く濁っている。「そうだな」と打たれる相槌に普段の快活さは無く、再び口は真一文字に結ばれてしまった。

    「……何が不満だと云うんだね」
    「何も……」
    「それにしては随分と機嫌が悪いじゃないか。最後まで見届けてくれたんだろう?」

    ユリウスは柔らかな金の髪を撫で付け、そこからアルベールのこめかみへ手を滑らせる。耳の輪郭を辿り、指先で顎を持ち上げると、見返す目蓋の縁に口付ける。

    「……でも、番が」

    漸く抵抗の意を見せたアルベールはそこで矢張り言い澱む。厳正な審査に納得はすれど、寄せられた評の表現に引っ掛かりが拭えないようだ。傍目からは嫉妬としか言い表せない感情を本人だけが処理できずにいるようで。
    ユリウスを押し退けるのすら躊躇うその手を取って、頬に唇を触れさせる。

    「あれはモノの例えじゃないか」

    そのまま上体を押し倒して、手首を敷布に縫い付ける。

    「私が誰と相性が良いか、それは誰よりも君が知っている筈だよ」
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