Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    いちか

    🐙⚡WEBオンリー開催おめでとうございます

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 30

    いちか

    ☆quiet follow

    WDログストの話

    コトン、と搭乗している騎空艇の形を模したトロフィーをサイドテーブルに置く。

    「君の言う通り余興に参加してきたよ」

    充分な成果は出しただろう?とユリウスが同意を求めれば、アルベールはベッドに腰掛けたまま半ば自棄とも言えそうな色で頷いた。

    「それにしても団長も凝り性だねぇ……余興だというのにこんなトロフィーまで用意して」

    指先で金属細工で作された帆を撫でる。それを横目に映すアルベールの瞳は紅より色濃く濁っている。「そうだな」と打たれる相槌に普段の快活さは無く、再び口は真一文字に結ばれてしまった。

    「……何が不満だと云うんだね」
    「何も……」
    「それにしては随分と機嫌が悪いじゃないか。最後まで見届けてくれたんだろう?」

    ユリウスは柔らかな金の髪を撫で付け、そこからアルベールのこめかみへ手を滑らせる。耳の輪郭を辿り、指先で顎を持ち上げると、見返す目蓋の縁に口付ける。

    「……でも、番が」

    漸く抵抗の意を見せたアルベールはそこで矢張り言い澱む。厳正な審査に納得はすれど、寄せられた評の表現に引っ掛かりが拭えないようだ。傍目からは嫉妬としか言い表せない感情を本人だけが処理できずにいるようで。
    ユリウスを押し退けるのすら躊躇うその手を取って、頬に唇を触れさせる。

    「あれはモノの例えじゃないか」

    そのまま上体を押し倒して、手首を敷布に縫い付ける。

    「私が誰と相性が良いか、それは誰よりも君が知っている筈だよ」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    Lemon

    DONE🎏お誕生日おめでとうございます。
    現パロ鯉月の小説。全年齢。

    初めて現パロを書きました。
    いとはじイベント参加記念の小説です。
    どうしても12月23日の早いうちにアップしたかった(🎏ちゃんの誕生日を当日に思いっきり祝いたい)のでイベント前ですがアップします。
    お誕生日おめでとう!!!
    あなたの恋人がSEX以外に考えているたくさんのこと。鯉登音之進さんと月島基さんとが恋人としてお付き合いを始めたのは、夏の終わりのことでした。
    一回りほどある年齢の差、鹿児島と新潟という出身地の違い、暮らしている地域も異なり、バイトをせずに親の仕送りで生活を送っている大学生と、配送業のドライバーで生活を立てている社会人の間に、出会う接点など一つもなさそうなものですが、鯉登さんは月島さんをどこかで見初めたらしく、朝一番の飲食店への配送を終え、トラックを戻して営業所から出てきた月島さんに向かって、こう言い放ちました。


    「好きだ、月島。私と付き合ってほしい。」


    初対面の人間に何を言ってるんだ、と、月島さんの口は呆れたように少し開きました。目の前に立つ青年は、すらりと背が高く、浅黒い肌が健康的で、つややかな黒髪が夏の高い空のてっぺんに昇ったお日様からの日差しを受けて輝いています。その豊かな黒髪がさらりと流れる前髪の下にはびっくりするくらいに美しく整った小さな顔があり、ただ立っているだけでーーたとえ排ガスで煤けた営業所の壁や運動靴とカートのタイヤの跡だらけの地面が背景であってもーーまるで美術館に飾られる一枚の絵のような気品に満ちておりました。姿形が美しいのはもちろん、意志の強そうな瞳が人目を惹きつけ、特徴的な眉毛ですら魅力に変えてしまう青年でした。
    17926