雪と物好き「俺、雪って好きだなあ」
窓辺の椅子に腰掛けた貴方は何故か楽しげな顔で外を眺めていた。暖炉から遠いそこは冷えるだろうに、ほらご覧なさい。もう頬が赤らんでいるではないですか。
わざと聞こえるように溜め息をつき、先程淹れたばかりの紅茶を目の前に差し出すと『お、サンキュな』なんて当たり前のように貴方はカップとソーサーを受け取るから、つい嫌味が口をついて出てしまった。
「雪が好きだなんて物好きもいたものですね。燃料費の高騰、交通網の混乱、物流の遅延、物損、転倒、屋根からの落下……除雪作業に軍まで駆り出されるんですから税金と労力の無駄遣いですよ」
「おまえって本当そーゆーやつな」
「それはどうも」
そういうやつですから。
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