見惚れてました「それ、どうしたんですか?」
次の任務の為に待機室で待っていると、同行する予定だった七海さんがやって来て、開口一番にそう言った。
「それ、とは?」
「眼鏡ですよ」
私が聞くと、彼は私を見つめたまま言う。
「あぁ。これですか。先日の健康診断で引っかかりまして。確かに見えづらいなとは思っていたので、昨日の休みに買ってきました」
「……そうですか」
そう言いながら、七海さんはサングラスをカチャリと直す。そんなに変だったかな?
「変ですか?」
私が聞くと、彼は「いえ」と一言だけ言い、待機室を出ていく。私は不思議に思いつつも読んでいた本をしまって、彼の後に続いた。
七海さんは私の二つ上の先輩で、学生時代は余り接点は無かった。私が卒業して呪術師として任務にあたるようになってからも、相性のせいか余りアサインされることも無かった。だがここ数年、私が一級に上がってから特級任務や潜入任務などでアサインされる事が増え、食事に誘われたりする事も増えた気がする。高専でも人気御三家だし(残りは言わずもがな五条さんと夏油さんだ)大人で素敵だと思うけど、いまいち掴みきれないところがあって(表情変わらないし)私的にはあくまで『先輩』だ。
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