RECALL①11月後半の雨が降る肌寒い日の夜、自分の住むマンション近くのゴミ捨て場にずっと探している男に似た男が倒れていた。
私、鯉登音之進は、明治時代、大日本帝国陸軍第七師団に所属していた前世の記憶がある。
生まれつき記憶があるわけではなく、16歳の時、社会人である兄の鯉登平之丞が中国への海外出張がきっかけでフラッシュバックを起こしてしまった。当初は、記憶と現実の区別がつかなく混乱し、ふさぎ込んでしまったが、兄が無事に帰国して落ち着きを取り戻した。
ただ、前世の記憶もすべて残っているわけでない。
アイヌが隠した黄金争奪戦の中、五稜郭で私は鶴見中尉と決別した。
函館行きの列車で新撰組の土方歳三と対峙した後、手投げ弾で自爆しようとする月島軍曹を阻止すべく駆け寄り、牛山に投げ飛ばされてしまった。
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