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    カラス

    カミュ主派

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    カラス

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    カミュ主 現パロ お題お借りしました。

    #カミュ主版創作お題

    #カミュ主
    camusLord

    バレンタインバレンタインなんて見えない、聞こえないふりをしていた。

    そんな感情を向けられていいやつじゃないんだ。

    だから、受け取らないし話も聞かない

    そんな"重荷"はいらないんだ。

    そうやってただひたすらに避け続けてきた。

    そうしてきてどれくらいたっただろうか…

    いつからだったか忘れたが、自分の家のポストに投函される薄紫色の箱

    最初は直接渡せないからポストに入れるだなんて迷惑な奴、としか思ってなかった。

    毎年、毎年、あきもせず同じ色の箱がこの時期に届く

    名前もない、手紙もない、よくよく思えば怪しい箱

    でもどうしてか悪いやつじゃない、と思ってしまっている俺がいる。

    んでもって毎年ポストにあるのを期待している俺がいる。

    今年も届くんだろうな、と思っていた。

    「もしかして、諦めたか」

    ポストを開けてみると何も入ってなかった。

    「まぁ、そうだよな」

    そりゃそうだ、と思いながらも…少し寂しく思った。

    「はぁ…」

    ため息を一つ落として、顔を上げて歩きだそうとしたその時

    「わっ!?」

    ドサッと尻もちをつくような音がして俺は慌てた

    「わ、わりぃ!大丈夫か?」

    尻もちをついたそいつに手を差し出す。

    「あ……すみません…」

    赤くなったり青くなったりしながら挙動不審なそいつは見た目より低めな声で謝った。

    「いや、俺のほうこそ…あー…これ汚れちまったな…」

    地面には、そいつが落としたであろう薄紫色の箱が転がっている。

    「薄紫色の…」

    拾って渡そうとすると

    「あ!あの!すみませんでした!!」

    ひったくる勢いでそいつは突進してきた。

    「ちょ!まっ!」

    その勢いに負けて俺まで転ぶ。

    「いってて…」

    目をあけると空色の瞳と目が合った。

    目が合ったままそいつの頬に手をのばして

    「あぁ、お前だったのか」

    と自分でも驚くほど愛おしげに呟いた。

    「…っ!!!」

    火でもつくのかのように真っ赤になってるそいつが可愛くて…ちょっと意地悪をする。

    「拾っただけなのになぁ…?痛いんだよなぁ…?」

    わざとらしく言うとそいつは青くなった。

    「お詫びと言っちゃなんだが、薄紫の君の名前が知りたいんだよなぁ…」

    そう言われると…というような、ぐうの音も出ない顔をしている。

    「ボ……ボクはイレブン…覚えといてよね…」

    数分悩んで観念したのかようやく名前が聞けた。

    「イレブン、そうかイレブンか、俺の恋心…奪った罪は重いぜ?」

    あぁ、こんな重さも悪くないか、なんて真っ赤な顔を見ながら俺はそう思った。
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