凍える指先 シャトルの窓際のシートに体を深く預けると、ラウダはできるだけゆっくりと、意識して細長く息を吐き出した。頭の中でざわついてリフレインする思考を追い出すように、そっとまぶたを閉じる。肺の中を空にするイメージを浮かべる。何も気体を含まずに閉じた肺を、時間をかけて、再び空気で満たして広げていく。
二回深呼吸を繰り返してから、静かにまぶたを開いた。胸の中心に手を当てる。
発作の前駆症状は、今のところ感じられない。
過呼吸のような発作に、ここ最近で三度襲われている。いずれも一人で行動している時に発症しているが、幸いなことに症状は重くない。呼吸のリズムを整えるよう気をつけていれば、息苦しさはものの数分で消えていく。
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