30秒の沈黙も与えられない/杉白杉元が俺を指差していかにも迷惑そうに、
「ただのお荷物だよ」
と聞かれたやつに答えるたびに、俺はいつも通り情けない顔をして、杉元と横にいるアシリパさんに顔と鳴き声で訴える。
だけど二人はいつものこと、としれっと先に歩き出し仲良く何かを話している背中を無表情で見つめると、頭の後ろに手を組んでぶらりぶらりと歩き出した。
三人でいる時は、特にそう。俺のことを蔑ろにしながら説明をする杉元には、実際その通りだから全く気にしていない。
俺は「脱獄王」であって、アシリパさんのように狩猟に長けているわけでもないし、杉本のように戦闘能力が高いわけでもない。
だから蔑ろな説明に怒る理由はない。
だけどさぁ。
「白石、あれは第七師団の奴らだ。後を追いかけるぞ」
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