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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック④延長戦
    6日目
    平安の鬼化後イケイケム様と鬼狩り兄上

    #むざこく30本ノック
    random30Knocks
    #むざこく
    unscrupulousCountry

    平安の鬼化後イケイケム様と鬼狩り兄上 鬼になってから頗る調子が良い。
     薬師を殺してしまったので半端な状態での回復となり、いくつかの問題点が残った。日の光の下を歩けないことが最も大きな問題だった。それ以外に不便な点と言えば、食べる物だ。これまでの食べ物は酷い味がして受け付けられなくなった。しかし、体調が悪い時はいつも糊のような粥しか食べていなかったので、元より旨いものなど食ったことがない。だから食事については何が旨いのか解らなかったが、女を抱くようになってから、その肌に無性に噛み付きたいと思ったのだ。
     薄暗い御簾の中で乱れた呼吸と共に汗ばんだ胸が揺れる。その白い乳房に噛み付くと、普段は聞き取れないほど小さな声で話す女が気色悪いほど甘ったるい嬌声をあげた。下品な女だと思いながら、そのまま肉を噛み千切ると、それは悲鳴に変わった。
     旨い、初めてそう思った。肉や臓物を欲望のまま食い続け、初めて腹が満たされた。
     殺した女は形式上の「妻」であり、名家の娘ばかりであったが、父が揉み消してくれたので、どの妻も自ら命を絶ったことになっていた。
     鬼舞辻殿に嫁ぐと不幸になる、と皆が口々に噂をしたが、貴族の姫君は愚かな女が多く、恋の歌を送り、言葉巧みに誘い出し、何度か床を共にすれば、すっかりこちらの言いなりであった。強靭な肉体を得てから、女が蝿のように群がってくるのだ。昔の自分なら面倒だと振り払っていたが、食料だと思えば相手をすることも苦ではなく、多くの浮名を流しては、愛した女が死ぬという悲恋の男と呼ばれていた。
     だが、そんな日々も長くは続かなかった。不吉な噂を恐れた女たちは近付いてこなくなり、たちまち食うに困る日が訪れた。仕方なく、使用人をひとりずつ食べ、残るは巌勝ひとりとなった。どれだけ飢えても巌勝だけは食えず、そして、このことを巌勝にだけは知られたくなかった。
     初めてだった。自分を「鬼舞辻家の若君」として丁重に扱ってくれる存在に出会ったのは。誰も腫物に触るように迷惑そうに扱う中で、巌勝だけは私を主だと慕い、従ってくれた。あのように健康で気風の良い優秀な男が出世できない中央は、どこまでも腐りきっていると思い、自分に力さえあれば……と思っていた。
     力を得た今、都を制圧するのも楽勝だと思っていた。自分が権力を持てば巌勝を取り立ててやれる、そう思っていたのに、巌勝は愚かにも忠義の為、腹を切った。
     死なせたくない、不死となった自分の一部を与えたら巌勝も同じ体になるのではと期待し、血を与えると、巌勝も赤い目を持つ自分と同じ存在となった。
     他でもない腹心の部下である巌勝が供となってくれたのだ。何より喜ばしいことであったが、巌勝はいつまで経っても人を食うことに慣れなかった。
     仕方なく巌勝の心が痛まないように罪人を生きたまま攫ってきて食わせてみたが、どの肉を食べても巌勝は吐いて受け付けなかった。
    「私は……大丈夫ですので……」
     あれほど健康で丈夫な男であった巌勝はみるみる弱っていった。
     しかし、元が健康だったからであろう。殆ど食べず、痩せ細っても二百年、供として生きてくれた。
     最期は寂しいものであった。
    「本当に日の光の下を歩けないか、私で試して見せましょう」
    「やめよ」
     そう止めても、巌勝は終わらせたかったのであろう。ふらふらと光の下へと向かい、そのまま塵となって消えた。
     日の光を克服しなくては、自分もあのように塵となり、何も残らないことを巌勝は教えてくれた。

     あれから月日が流れ、人を食う自分は「鬼」と呼ばれるようになり、鬼を狩る集団が現れた。
     その邪魔な鬼狩りを殺すこと、そして「青い彼岸花」を探すこと、ひとりでは手間が掛かって仕方がないので、巌勝にしたように、鬼となる存在を増やすことにした。しかし、鬼となる者は稀で、巌勝ほど優れた男も現れなかった。
     惜しい男を失くした。今でもそう思っている。自分に逆らうように日の光の下に行き消えて行ったが、あのように愚直で忠義に厚い男はなかなか見つからない。
     それに、あの男に血を与える時に口を吸ったが、あの時に初めて、他の女に抱く欲とは違うものを感じていた。元よりあの男の精悍な顔立ちや逞しい肉体を好ましく思っていた。それは自分にないものを持つ相手への憧れだったかもしれないが、同じように強い体を得てからも、巌勝を食い殺さずに側に置きたいと思っていた。
     だが、それほどまでに好ましい相手は現れず、今は珠世という女を連れていたが、顔が良く、少々頭のきれる女であったが、そろそろ飽きたと思っていた頃だ。巌勝のような面白い男が側にいた方が退屈しないと思っていた。
     そんな中、鬼狩りが急激に力をつけ、鬼と対等に戦うようになってきた。
     忌々しいと思う反面、一体何が起こったのか。殺される鬼の視界を共有して見ると、その中に薄紫の刀を持った「月の呼吸」という技を使う剣士がいることを知った。
     額や頬に鬼の紋様に似た痣を持っていることよりも驚いたのは、その容姿があの「巌勝」に生き写しであり、名も同じ「巌勝」なのだと言う。生まれ変わりなど俄かに信じられないが、姓も同じく「継国」だと言う。どうやら、あの時、巌勝も自分と同じ「罪人」として継国の一族は罰として東に下ったようだ。そこで鬼舞辻の父の取り成しがあり、田舎とはいえ一国の領主となり、代々領地を盛り立ててきたのだろう。しかし、その家を捨てて鬼狩りになるとは酔狂な男だと思った。
    「面白いものを見つけたぞ、珠世」
     何と声を掛けても味気ない反応しかしない女である。鬼になりたいと懇願してきた時は、必死の形相で髪を振り乱して頼み込み、はしたないまでに床で乱れた女で、手当たり次第に人を食い、終いには自分の旦那と子供も食い殺した面白い女だったのに、長く連れているうちに、つまらない女になってしまった。
     もう、あの呼吸の使える剣士「巌勝」を手に入れたら、こんな女はお払い箱だと思っている。
     今度こそ長き夜の供とし、一生側で仕えるように命じようと思うと心が躍った。
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    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
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