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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこくアドベントカレンダー
    17日目
    ドキッ!男だらけの◯◯
    ※注意※
    無惨様と珠世さんが元夫婦で、童磨君はしのぶちゃんのことが好きな世界。

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    #むざこく
    unscrupulousCountry

    ドキッ!男だらけの◯◯ まさかの出来事に、童磨はキラキラした笑顔を浮かべつつ、背中に冷たい汗を流している。それもそうだろう。隣にいる彼の先輩、鬼舞辻が物凄い形相で童磨を睨んでいるのだから。これは「激おこぷんぷん丸」なんて可愛いレベルではないだろう。本気で殺される、童磨は死を覚悟した。
    「童磨、ちょっと……」
    「はい……」
     鬼舞辻は童磨の首根っこを掴んで部屋を出る。
    「ごめんねー! すぐ戻るからねー!」
     と笑顔で手を振るが、本当にこの部屋に戻れるだろうか……と童磨は、幼い頃の記憶を走馬灯のように脳裏に流していた。

     今日は受付嬢や秘書など、所謂「きれいどころ」が来る、と童磨が幹事となり、この合コンをセッティングしたのだ。「美人が来ますよー」と具体的なことは何も言わず、まぁ、童磨がそう言うし……と、こちらも選りすぐりのイケメンを集めた。そのひとりが鬼舞辻である。
     だが、話が違うと鬼舞辻はご立腹である。
    「あれの、どこが受付嬢と秘書なのだ」
    「あれー? おかしいなぁ……」
     童磨の依頼とは正反対、相手側は男ばかりで、部屋の中には童磨と鬼舞辻も含め、野郎しかいないのだ。
    「ちゃんとしのぶちゃんに頼んだんですけどねぇ」
    「しのぶって……あの珠世の部下か!」
    「珠世……そうです、そうです! 先輩の奥さん」
    「元、だ!!」
     よりにもよって、産屋敷製薬の連中との合コンだったのか……と頭を抱える。その上、童磨が声をかけた相手は「胡蝶しのぶ」、鬼舞辻の元嫁、珠世と同じ部署の女狐2号である。
     先日やっと離婚が成立した元嫁の部下に依頼した合コン……絶対、珠世の入れ知恵だと鬼舞辻の怒りが収まらない。童磨からすれば、調停でお互いに弁護士を立てて、やっと離婚が成立するくらい揉めに揉めた泥沼離婚だったのだから、暫くこういうの控えたら良いのに、離婚の原因、自分の浮気なのに……と密かに思っていた。誘ったのは自分だけど。
    「帰る」
    「えー、そう言わずに。ここの店、予約取るだけで大変だったんですよ。美味しいご飯だけでも食べて帰りましょうよー」
    「煩い! むさ苦しい男に囲まれて飯を食って、何が旨いのだ!!」
     泣きつく童磨を振り払い帰ろうとすると、向こう側の一人が申し訳なさそうに呼びに来た。
    「あの……そろそろ料理運んでも良いか? って店員さんが言いに来ていて……」
    「あ、すぐ戻ります! 行きますよ、先輩」
     童磨に引っ張られ、鬼舞辻は渋々部屋に戻った。その時、呼びに来た男が、鬼舞辻を見て、僅かに頬を染めたが、鬼舞辻は気付いていない。
     取り敢えず席に戻り、相手は産屋敷製薬の研究室で働く薬剤師だと聞かされた。
    「えー、皆さん研究職なんですねー。俺と鬼舞辻先輩も薬剤師だけどMRやってまーす」
     ムスッとした鬼舞辻に代わり、童磨が場を盛り上げようと色々話す。もう、相手が気付く前に「この人、そちらの珠世先生の元ご主人なので、その話は禁句でお願いしますねー!」と言ったものだから、室内が余計に凍てついたのは言うまでもない。珠世は結婚後も旧姓で仕事をしていたので「鬼舞辻」姓を知るものは殆どいない。なので、誰かが地雷をブチ抜く前に、こうして告知しておいた方が全然マシなので、童磨は心臓が縮こまるような思いをしつつも、ギリギリの綱渡りを繰り返している。
     別に鬼舞辻の言う通り、騙されたのだから帰っても良い合コンなのだが、同じ業界内でそんな情けない真似はしたくない。今日は合コンではなく、製薬会社同士の懇親会だと思おうと童磨は腹を括っていた。
     それに製薬会社同士が集まったところで腹の探り合いになるだけだ。元々、中枢神経系疾患領域ではライバル関係にあり、最近、双方ともに新薬の抗うつ薬を発売したところで、副作用が少ないが、効果が出るまで時間が掛かる産屋敷製薬の薬と、即効性があるものの躁転のリスクが高い弊社の薬、割とネットで論争になっているので、あまり仕事の話はしたくないのが互いの本音である。
     しかし、産屋敷製薬の継国という男だけが、やや前のめりに鬼舞辻を見ている。
    「先輩、あのイケメンにめっちゃ気に入られてるんじゃないですか?」
    小声でこそっと声を掛けると、童磨は継国にめちゃくちゃ睨まれた。あ、何か勘違いしてるっぽい、と童磨の気苦労は増す一方だ。鬼舞辻は手元にあったワインのボトルを持ち、継国の空になったグラスに注いだ。
    「有難うございます……」
     真っ赤になりながら継国は鬼舞辻の注ぐワインを見つめている。勿体なくて飲めないといった様子に、童磨は面白すぎて吹き出しそうになっている。鬼舞辻からすれば、女のいない空間で、比較的顔の綺麗な継国を見ているのが一番楽しいので、からかって遊んでいるだけである。
    「ちょっと席外す」
     そう言ってクラッチバッグを持った鬼舞辻が離席した時、童磨は継国にそっと耳打ちする。
    「煙草吸いに行ったんで、もし継国さんも吸うなら、今、チャンスですよ!」
    「えぇ!?」
     動揺する継国に余計なお世話と思いつつも鬼舞辻のジャケットと継国の鞄を渡した。部屋から追い出し、童磨は頑張ってー! と手を振った。
     男を食う趣味はないだろうけど、離婚して弱っているところだから、案外……ってこともあるかも、と面白がってやってみたが、現実は童磨の予想を遥かに上回った。

     二人は部屋に帰って来なかった。

    「えぇー!?」
     喫煙場におらず、二人の姿は忽然と消えたのだ。
     童磨と産屋敷製薬それぞれの幹事は抜け出した二人分の料金も払い、お互い複雑な面持ちで静かに挨拶をして解散した。
    「良かったのか、抜け出して」
     ジャケットを羽織りながら鬼舞辻が言うと、継国は「はい」と明るく返事をした。
    「合コンの頭数で連れてこられたんですけど、合コンじゃなくて安心したものの、大人数の飲み会って苦手なんで……」
    「そうか。私は騙されて連れてこられただけだから帰りたかったのだ。上着、助かった」
     喫煙場に自分の上着を持った継国が現れたので、これ幸いと二人して店を抜け出したのだ。
     お互いまったくの初対面なのだが、不思議と嫌な感じがせず、寧ろ何が理由か解らないが好感の持てる相手だと思っていた。
    「そこのバーで飲み直さないか?」
    「いいですね」
     二人は並んで地下にあるバーに向かう。翌日、勘違いした童磨に根掘り葉掘り聞かれるのだが、この日は酒を飲み交わし、他愛の無い話で盛り上がっただけだった。
     1年後、この騙された合コンがきっかけとなり交際が始まったと馴れ初めを披露宴で話すことになるが、今は未だ誰も、この二人でさえも、そのことを知らない。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック④延長戦
    7日目
    シンプル、カジュアル、ラフなペアコーデで、公開用のオフショットを撮影するむざこく
    シンプル、カジュアル、ラフなペアコーデで、公開用のオフショットを撮影するむざこく 無惨と黒死牟が仕事上だけでなく私生活でもパートナーであると公表してから、どれくらいマスコミに囲まれ、あることないこと書かれるかと心配していたが、取り立てて大きな生活の変化はなかった。
     職場は二人の関係を元から知っていたし、世間も最初は騒ぎ立てたものの「鬼舞辻事務所のイケメン秘書」として有名だった黒死牟が相手なので、目新しさは全くなく、何ならそのブームは何度も来ては去っている為、改めて何かを紹介する必要もなく、すぐに次の話題が出てくると二人のことは忘れ去られてしまった。

     そうなると納得いかないのが無惨である。
    「わざわざ公表してやったのに!」
     自分に割く時間が無名に近いアイドルの熱愛報道よりも少ないことに本気で立腹しているのだ。あんな小娘がこれまたションベン臭い小僧と付き合っていることより自分たちが関係を公表した方が世間的に気になるに決まっていると思い込んでいるのだが、職場内だけでなく国内外でも「あの二人は交際している」と一種の常識になっていた上に、公表を称えるような風潮も最早古いとなると、ただの政治家の結婚、それだけなのだ。
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