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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック
    2日目

    #むざこく30本ノック
    random30Knocks
    #むざこく
    unscrupulousCountry

    桜並木「おお、絶景、絶景」
     無惨は嬉しそうに桜吹雪の下を歩く。蕾のうちに周辺の集落に雑魚鬼を放ち、盛大に食い殺すように命じた。次々と人が姿を消すので「神隠しに遭った」「桜に攫われた」と村人は恐れた。そして人々は夜、出歩かなくなった。鬼狩りに勘繰られる前に無惨によって鬼は消された為、誰の邪魔も入らず、ひっそりと静まり返った川沿いにずらりと咲く、満開の桜並木を独り占めできたのだ。
     今宵は満月。暗闇の中、月明かりを浴びて白く輝く桜を見て、無惨は上機嫌だ。
     夜桜見物が好きなど、やはり風流なお人だと、数歩後ろを歩いていた黒死牟は桜より無惨を見ている時間の方が長かった。

     月や桜ばかり眺め、ずっと上を向いていたが、ふと足元に置かれた地蔵を見ると、折った桜の枝が供えてある。
    「花折りか」
     その枝を拾い上げ、花が咲いた先端部分だけを千切り取り、その花を黒死牟の髪に挿した。
    「これは……」
    「神に祈りを捧げる時に、こうして桜の枝を折って捧げる風習があるのだ。命乞いのつもりだったのだろう」
     黒死牟の髪を飾る花弁は桜並木の花弁よりも明らかに赤い。まるで死人の血を吸ったかのようだ。
    「桜という名は元々、神の御座(みくら)から来ている。その為か呪い(まじない)によく使われた。弔いのつもりか墓地や処刑場にもよく植えられるからな。桜の木の下には人骨が埋まっているらしいぞ」
     根本に立っていた黒死牟は思わず桜の木から離れた。人を食う鬼のくせに随分と面白い反応をすると嘲笑う。
    「与太話だ、真に受けるな」
     冷ややかに言い放った無惨は再び月を見上げる。立ち止まった二人に雪のような花弁が降り注ぐ。
    「人は愚かだ」
     てのひらに舞い降りた桜の花を握り潰し、無惨は大きな溜息を吐く。
    「願ったところで何も変わらぬのに、こうして神や仏に縋ろうとする。」
     誰が教えたわけでもないのに、神羅万象、八百万の神に手を合わせ、厚かましく己が願いを頼む。
    「神は……私に何も与えては……くれませんでした……」
     生まれてから今日までの日々を振り返っても、神も仏もない日々であった。だが、自分には神に等しい存在が現れたのだ。
     黒死牟の胸の内を読み、無惨は「帰る」と小さく呟いて、振り返らずに歩き出した。黒死牟は無惨が戯れに挿した桜の枝を手に取る。
     桜にしては花弁がやけに赤い。まるで紅梅のように赤い花弁を見て、黒死牟は六つの目を不快そうに細める。すると折った枝の根本から、どろりと樹液が流れ出る。どす赤黒い液体はまるで腐った血のようだった。
     そして、その粘液は黒死牟の指先を溶かす。枝から生えた根は太く頑丈になり体を縛り、皮膚を破って侵入した細い根は血管を巡り、体から血を吸い上げる。全身に根が巻き付き、細かった枝が太い幹へと変わり、黒死牟は桜の木に飲み込まれてしまう。
    「無惨様……!」
     暗闇の中の無惨は桜の花弁に包まれ、白い世界へ攫われようとしている。根の絡み付いた腕を無惨に向けて必死に伸ばすと、冷たい手に捕まれ、桜の幹から引き摺り出される。
    「何を見た」
     己の体を見るが、桜の枝や根はどこにもない。髪に飾られた桜だけである。
    「……何も……」
     黒死牟は無言で無惨の後に続く。
     人の命を蹂躙する自分たちへの神罰のつもりだろうか。だが、救う慈悲もない相手の罰を受ける筋合いはない。黒死牟は桜の花の向こうに見える満月を眺めながら、小さな溜息を吐いた。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック③
    17日目
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション 何か理由があって髪を伸ばしているわけではない。
     長い髪って手入れが大変ですよね、と言われるが、実はそうでもない。短い髪の時は月に一度は散髪に行かないといけなかったが、長い髪は自分で毛先を揃えるくらいでも何とでもなる。女性と違って髪が傷むだの、枝毛がどうだのと気にしたことがないので、手入れもせず、濡れた髪を自然乾燥させることにも抵抗がない。それに短い髪と違って、括っておけば邪魔にならないので意外と便利だし、括っている方が夏場は涼しいのだ。
     つまり、ずぼらの集大成がこの髪型だった。
     特殊部隊に入った時、長髪であることにネチネチと嫌味を言われたこともある。諜報活動をする時に男性のロングヘアは目立ち易く、相手に特徴を覚えられやすいから不向きだと言われ、尤もだなと思ったが、上官の物言いが気に入らなかったので、小規模な隠密班を編成する際の長に選ばれた時、全員、自分と背格好が近く、長髪のメンバーだけで編成し、危なげもなくミッションを成功させたことがある。だが、自分の長髪にそこまでこだわりがあったわけではなく、単なる反発心だけである。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    15日目
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか
    「ほら見たか!これで恐れるものなぞ何もないわ!」とかつてないほど昂るのか、「案外大したことないわ、つまらんな」と吐き捨てるのか、「太陽の方がやはりお好きで?」「白昼にも月は出ておるわ馬鹿者」みたいな気楽な会話になるのか
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか  それは初恋の憧れに似ていた。
     手の届かない遠い存在という意味か、遠い昔の燦爛とした断片的な記憶のせいか、その強い「憧れ」が根底にあるから黒死牟とは意気投合したのかもしれない。
     自分たちにとって太陽とは最も忌むべき存在であり、その反面、強く憧れ、恋い焦がれた存在であった。
     今でも朝日を見ると、今際の際を思い出し身構える。しかし、その光を浴びても肌が焼け落ちることはなく、朝が来た、と当たり前の出来事だと思い出すのだ。

    「今日も雲ひとつない晴天ですね」
     黒死牟が車のドアを開けると、その隙間から日の光が一気に差し込む。こんな時、黒死牟のサングラスが羨ましいと思うのだが、まさかサングラスをしたまま街頭に立ち、演説をするわけにはいかないので日焼け止めクリームを丹念に塗り込む程度の抵抗しか出来ない。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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