全ては夢の中春の温かな陽気を感じ、朝起きると、そこは暖かいベッドの上。しかし、知らない天井と知らない壁に囲まれた非日常的な空間で。体を埋める布団の中には俺以外の物体が確かにあった。
何気なく動かした足がその物体に触れると、物体はかすかに動き生きていることを証明する。物体こそ、俺と一緒の布団に寝ていた人物。顔を覗くと、見覚えのある顔が気持ちよさそうに寝息を立てていた。
黒名だ。
どういうことだろうか。記憶はないが俺は全裸で黒名と一緒の布団で寝ていた。言うまでもなく、黒名も全裸であり、困ったことになったらしい。そう、すぐに察せた。
程なくして、黒名が目をこすりながら体を起こす。すぐに黒名を問いただし、どう言うことか聞くと黒名は流暢に、悪気はなく、そしてにこやかに話し出した。
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