花葉「お前さ、めんどくさい先輩によく絡まれてたよな」
世和「そんなのいたっけ?」
花葉「“柳は普段から武器として弓使ってるから扱いには慣れてるよな、そりゃエースも簡単に取れるよな”...って嫌味言うときだけ絡んでくるやつ」
世和「ん〜…?ああ〜…そういやいたな。でもそいうの言う通り、俺の方が弓触ってる時間多いしそりゃみんなより上手くなるだろ」
姫花「…その人の妬み全く効いてないじゃん」
朱優「こいつにそういうのは効かない」
姫花「てか世和が弓道部だったのって自分の武器が弓だから?」
世和「いや?弓道部入って楽しかったから実戦でも武器にした」
姫花「まさかの逆輸入?てことは未経験で弓道部のエース?天性じゃん…」
世和「でも弓道部入ってよかったよ。じゃなかったら俺の武器一生決まらなかったかもな」
姫花「なんかやりたいのとかなかったの?」
世和「ない。どれでもいいやーって思ってたしなんならいっそお前はこれ使えよって誰かに言われた方がよかった」
朱優「他人に人生委ねすぎだろ」
世和「別にその武器選んだら一生それじゃなきゃいけねーわけじゃねーじゃん?変えようと思えば変えられるんだし」
花葉「そりゃそうだけど。はぁ…お前はこういう大事な選択でも軽いんだなぁ…」
姫花「なんでもできるって逆に困ることかもね?」
朱優「特にこいつみたいな優柔不断にはな」
世和「慣れればなんだってできるようになるだろ?」
花葉「それはお前みたいな器用なやつだけなんだよ」
世和「うーん、そういうもんなのか?梓白は分かってくれたけどな」
花葉「そりゃ梓白も何でもできるからな」
姫花「聞く相手間違えてる」
世和「梓白ってさぁ、ほんと俺の言いたいこと分かってくれんの。超好き」
朱優「...それは普段お前も手抜いてるということ自白している、と受け取っていいか?」
世和「え、なんでそうなんの?」
姫花「あ、朱優が仕事モードの目になった」
花葉「...こりゃもう逃げらんねぇな」
朱優「あいつは自他共に認める“やるときはやる男”だからな」
姫花「梓白が本気出してるとこ滅多にないよねー」
花葉「本気出さなくても普通に強いし冗談抜きで何でもできるからな」
世和「いやいや、俺はちゃんと毎回やってるって。お前こそな、いつも俺にレベル高ぇ要求しすぎだから」
朱優「お前が俺の言ったこと以上のことをやるって分かってるから言ってんだよ」
姫花「この言い合いもいつもと同じ」
花葉「…だな」
世和「へ〜。それって俺のことよくわかってるってことじゃん。お前って俺以上に俺のことわかってそう」
朱優「お前がお前のこと知らなすぎなんだよ」
花葉「まあそれは言えてる」
世和「なんだよ、花もそっち側かよ」
花葉「お前、本当に自分のこと知らなすぎだもん。何が得意とか、何が苦手とかさ」
世和「得意なことも苦手なことも特に思い浮かばねーもん。あ、歌うのは好きだけど」
姫花「頑張って考えた結果やっと出てくんのが歌なんだ…」
朱優「こいつは全部できるから苦手なものも得意なものもないんだろうな。強いて言うなら自分で決めることか?」
世和「言われてみりゃそうかもな」
姫花「世和ってみんなに合わせがちだよねー。なんでもいいよーみたいな」
世和「いやいや、俺だって嫌なときは嫌って言うからな?」
姫花「その嫌っていうのがほとんどないんじゃないの?って話」
世和「それはお前らと気が合うってことだよ」
朱優「いいようにまとめようとすんな」
姫花「何でもできる世和と梓白の違いはそこかもね〜梓白は自分がノらないやつはマジで冷めてるし」
朱優「さすが、わがままな美人だな」
姫花「あ、朱優も梓白のこと美人とか思うんだ?」
朱優「お前らが言ってるのを言っただけだ」
世和「花?どうしたんだよ?」
花葉「…そういえば梓白って苦手なもんとかあんのかな〜と思って」
姫花「また梓白の話?好きだねぇ」
朱優「お前だっていつも陽さんの話してるだろ」
姫花「へへ、まぁね」
世和「梓白の苦手なものか…聞いたことないかも。てかマジでなさそう」
姫花「梓白もほんとになんでもできるもんね」
花葉「聞いても何もないって言われそうだよなぁ…」
姫花「逆に俺たちで確かめてみるってのは?」
花葉「…梓白になんか仕掛けんの?」
世和「お、楽しそ。でもな…」
姫花「何?」
世和「…梓白、キレたら超こえーじゃん。下手したら全員死にかけるぜ?」
朱優「死にかけるで済めばいいけどな」
花葉姫花「…たしかに」
朱優「やるのは勝手だが壁に穴ぶち開けたり周りに迷惑はかけるなよ」
姫花「それで?朱優先生。何かいい案は?」
花葉「頭脳明晰な先生にご教授いただきたく…」
朱優「俺を巻き込むな」
花葉姫花「ケチ…」
世和「まぁまぁ、梓白の弱点はあればいつか見つかんだろ」
姫花「俺たちこんなに一緒にいて見つかってないよ?」
世和「それはマジでないってことじゃね?」
花葉「うーん、まぁ梓白のことだしなぁ…」
姫花「え、なんか悔しいから見つけたい」
朱優「どこに悔しさを覚えてんだ」
世和「あ、じゃあ逆に陽の弱点見つけんのは?」
姫花「失礼な!!陽様に弱点なんてあるわけないでしょ!」
花葉「いやあるだろ」
朱優「過去の話を聞かれると途端に口ごもる」
姫花「う…まあそれは…俺も気になってたけど」
世和「ま、誰にでも話したくないことくらいあるだろ。気にしてやんなよ」
姫花「うーん…そうだよね。俺も陽様の悲しい顔は見たくないし」
世和「あと陽にダル絡みしすぎると梓白がおっかねぇし」
姫花「たしかに!梓白って陽様が困ってるといつも助けに来るよね!」
花葉「やっぱ梓白の無敵感すごいな」
朱優「普段やってることはアホだけどな」
花葉「わかってねぇなぁ。兄貴みたいな常に堅物のやつより梓白みたいな余裕のある大人がいいんだよ」
朱優「わかってないのはお前の方だ。まず花依斗さんが兄であるとこ自体な…」
世和「あー、はいはい、お前らはそこまでな」
姫花「よーし、絶対梓白の弱点見つけてやるぞー!」
世和「お前はどこに気合い入れてんだよ」
姫花「だって梓白の弱点さえ見つけちゃえば俺たち一気に実力最強バディに近づけちゃうんだよ!?」
花葉「いやいや、梓白の弱点が戦闘に役立つもんじゃなかったら意味ねーだろ」
姫花「それも含めて見つけるってこと!」
世和「マジであのバディはあんま怒らせんなよ?」
姫花「へへ、死なない程度にやるよ」
花葉「あ、それ梓白がよく言ってるやつ!」
朱優「どこに嫉妬してんだよ…」