姫花「ね、成星。これどう?」
成星「似合ってない。そっちの手に持ってるやつの方が似合いと思う」
姫花「うーん、これさぁ、いいなーって思ったんだけどいつもと似たような系統になっちゃうんだよねー…」
成星「似合っているならいいだろ」
姫花「やだ。今日はいつもと違うの買いたい気分なの」
成星「かと言って似合わないのを買うのもどうかと思うが」
姫花「だからこうやって成星に聞いてんでしょ」
成星「…毎回思うがなぜ俺を連れていくんだ?他のやつと行った方が楽しいだろ」
姫花「成星は似合ってなかったらはっきり言ってくれるから。その方が率直な意見聞けて助かる」
成星「…お前がそれでいいなら構わないが」
姫花「しかもちゃんとセンスあるし。成星が似合うって言ってくれたやつ、周りからも評判いいんだよね〜」
成星「そうなのか?」
姫花「うん。あと俺、成星とこうやって服見てるの楽しいよ?」
成星「俺はこういうの興味ないのにか?」
姫花「成星、顔がいいからこういうの着たら似合いそうだなーって考えるのも楽しいんだよねー」
成星「でも勧めてこないよな」
姫花「本人が乗り気じゃないのに無理に勧めるのはよくないじゃん?ま、興味ありそうだったら勧めるけど」
成星「そういうものなのか」
姫花「でもさ、成星だって毎回俺に誘われても断らないじゃん。普段だったら興味無いってズバッとぶった切るのに」
成星「俺もお前とこうしているのは嫌いじゃないからな」
姫花「お、マジ?やったね〜」
成星「それに、お前が選んだ服なら着てもいいと思うからな」
姫花「…ね、成星って普段服買いに行かないの?」
成星「こうやってお前と服を見に行ったときに買っている」
姫花「うーん、それって俺が成星に似合いそう〜って選んだやつ?」
成星「そうだ」
姫花「え、マジ…?なんでこんなやつがモテんの?この人マジで顔がいいだけじゃん」
成星「顔だけでモテるのもどうかと思うが」
姫花「こーんな王子様みたいな見た目してんのに超〜性格きつくてオシャレにも興味ない魔法オタクとか世の中の女の子幻滅しちゃうよ」
成星「俺からしてみれば見た目だけで人に好意を抱くやつの方が気がしれないな」
姫花「そして安定の毒舌。てか、この店入ったときから店員さんもお客さんも成星のことめっちゃかっこいいって言ってるし。いい加減顔がいいの認めなよ」
成星「お前もかわいいだの美人だの言われてただろ」
姫花「ふふん、まあね〜。…ん?それって俺たち傍から見たら美男美女ってこと?」
成星「ふざけたこと言ってないで早く済ませてくれ。目当てのものがなければ次行くぞ」
姫花「えー、ふざけてないんですけど?でもそうだね。次行こっか」
成星「こういうの、花依斗とは行かないのか?」
姫花「兄貴と行く時もあるよ。あと花葉とはよく行く。兄貴も花葉も結構センスいいから楽しいんだ。 3人で行くこともある。けど… 」
成星「なんだ?」
姫花「うーん、兄貴と一緒だとあんまゆっくり見れないんだよね〜…」
成星「急かされるのか?」
姫花「あー、いやいや、そうじゃない。兄貴も花葉も服見るの結構好きだし。ただ…」
成星「?」
姫花「同じ店に長時間いるといつの間にかその店が激混みになるんだよね〜…主に兄貴が原因で」
成星「ああ、なるほど…あいつを見ていると容姿が整い過ぎているというのも考えものだな」
姫花「成星もそういうことない?」
成星「ない」
姫花「いーや、あるね。成星が気にしてないだけでしょ。てか当番で買い出し行くじゃん?兄貴と成星が行ったらどうなんの?」
成星「どう、とは?」
姫花「店出た瞬間人だかり!みたいなことになんの?」
成星「今のところそういうことは起きたことないが…。というか起こるわけないだろ。芸能人じゃあるまいし」
姫花「だって兄貴、待ち合わせで10分くらい同じ場所で待ってるだけで若干人だかりできるんだよ?」
成星「…あいつそこまでなのか?」
姫花「マジ。兄貴、観覧料取れると思う」
成星「まぁ、容姿が整ってるだけならまだしも目立つからな」
姫花「あ、てか依頼のときってどうなの?2人で歩いてるじゃん?」
成星「あのシンボルつけているからかそこまで目立たないな」
姫花「あ〜…なるほどねぇ…俺たちが普段つけてるあの宝石。大きさは超普通なのに色んな機能とか効果あってすごいよね〜」
成星「そうだな。詳しい原理は樹さんや梓白、紫音は知っているようだが…」
姫花「気になんないの?」
成星「気になっている。だがいつも曖昧にされる」
姫花「ふーん…なんか超重大な企業秘密!的な?」
成星「企業秘密だとしたらメンバーの俺が知らされていないのはおかしいだろう」
姫花「あ、そっか。うーん、じゃあ何でだろうね。樹とか紫音も実はよく分かってないとか?」
成星「樹さんに分からないことなんて…」
姫花「あるでしょさすがに。樹だって人間だもん。間違ったこと教えちゃったら嫌だから答えてないとか、樹ならありそう」
成星「…たしかにそうだな」
姫花「で、梓白は知ってるけど答えないとかありそう。梓白ってさぁ、いつもぜーんぶ答え知ってまーすって感じじゃん?」
成星「…あいつもさすがに全知全能ではないだろ」
姫花「と、そーんなこと話してる間にお目当てのお店に着きました〜」
成星「今日の目当てはここか?」
姫花「そ。ここなら俺にも成星にも似合うものがいっぱい置いてありそうでさ。気になってたんだよね〜」
成星「お前の気に入るものがあるといいな」
姫花「俺に似合いそうなのも探しつつ、成星に似合うものもバッチリ探すからね!」
成星「ふ、ああ。楽しみにしている」
姫花「あ!せっかくだしお互いが似合いそうなのを選んでプレゼントってどう?」
成星「俺は構わないがお前はそれでいいのか?」
姫花「もちろん!俺は成星のセンス信頼してるから」
成星「そうか。ならたまにはそういうのもいいかもしれないな」
姫花「よーし!決まり!成星に似合うの探してくるね!」