梓白「最近女性を騙すイケメンが多い悪徳店が増えてるんだって。そんで、実態調査ってことで依頼が来てる」
雪音「潜入でもするのか?」
梓白「俺はそれが手っ取り早いと思ってるんだよね。まあ客として行くんだけど…」
花依斗「男の姿では入れない、と」
梓白「そ。そんで今回は是非とも紫音くんにかわいい女の子になっていただいて潜入していただきたく」
紫音「はぁ!?何で僕が女装なんかするの!?」
梓白「この中だと君が1番妥当だから。実力もあって…似合いそうだし?」
紫音「君さぁ、普段俺は美人だとか言ってるんだからこういうときこそその美人を活かすべきだと思わない?」
梓白「俺が女装しても似合うのわかってるからつまんないじゃん?それに、自分のこと美人だと思ってるのは君もでしょ?」
紫音「僕だって似合うよ、多分」
雪音「ならお前でいいんじゃないか?」
紫音「うぐ…あ、こんなところに超美人で有名な花依斗くんがいる!」
花依斗「断る」
紫音「なぁに?花依斗くん。いくら美人の君でも女装はさすがに似合わないってこと?」
花依斗「俺は確かにここにいる誰よりも美しいが…美しいが故に目立ちすぎてしまうのでな?」
紫音「ドヤ顔で言ってくるあたり余計にムカつく」
梓白「それに花依斗は女装するにはちょーっと体格よろしいもんねぇ?」
花依斗「ふん。そうだな?」
紫音「何?君たち今回の件手ぇ組んでんの?」
雪音「紫音…お前に頼めないか?」
紫音「いーやーだ!いくら雪のお願いでもそれは聞けないね!」
梓白「ここにいる中で今回1番適任なの君なんだけどなぁ。容姿も声も」
紫音「僕だって好きでこんな見た目してんじゃないよ」
梓白「何がそんなに嫌?」
紫音「スカート履きたくない」
梓白「え、そこ?」
紫音「肌出すとかほんと有り得ない。ほんと君の今の服装とか有り得ないから。前閉めろ」
梓白「なんか俺に飛び火したんですけど。ねぇ、雪?君だって出してるじゃんねぇ?」
雪音「ああ、動きやすいけどな?」
紫音「あのね、雪?こいつが前開けてんの動きやすいからじゃないからね?」
雪音「そうなのか?」
梓白「あ、ここでそれバラさないでよー。動きやすいからってことにしといたのに」
花依斗「バラすも何も動きやすい理由でここまで開けてると思ってるやつの方がいないだろ」
雪音「…俺はずっとそう思っていた」
梓白「雪はそれだけ素直でいい子ってことだよ」
雪音「…そうだ。紫音がそこまで引き受けられないのなら俺がやるのはどうだろうか」
梓白「俺はそれでも構わないけど?」
花依斗「特に異論は無い」
紫音「ダメダメダメ!雪がやるのもダメだから!」
雪音「ダメなのか?」
紫音「ダメに決まってるでしょ!そんなかわいい雪なんて他の人に見せたくない!」
梓白「あ、そっち?」
花依斗「はぁ…やっぱアホだなコイツ」
紫音「…てかこういうのってさぁ、警察とかが動くものじゃない?」
梓白「今回の依頼主がその警察サンなんだよね〜」
紫音「…はぁ?」
梓白「しかもさ、ふふ、その依頼してきた理由がおもしろくてさぁ…潜入したいけど潜入できるほど整った容姿の人がいなくて…って。ふふ、真剣な顔でそれ言われて笑いこらえるの大変だったんだよ?」
花依斗「くだらねぇ…」
雪音「その悪徳店とやらはそんなに容姿の整った者が多いのか?」
梓白「さぁ、どうなんだろうね。警察サンも1回潜入したけどあっさりバレちゃったんだって。容姿のレベルが違いすぎて」
花依斗「…まあ、女をターゲットにしてるんだったらそれなりの容姿は必要なのか」
紫音「というか、僕たちも警察みたいに店側の人間として行けばよくない?…やるとしたらだけど」
梓白「あ、たしかに〜。紫音くん頭いい〜」
紫音「最初からわかってたくせに…」
梓白「ただのイケメン店員として行くか、女装して潜入するかだったら女装した方が面白いでしょ?」
紫音「面白さより確実さを取ってくれるかな、梓白くん?」
梓白「おっとこれは失礼、言葉が足りませんでしたね。面白く確実に、でした」
紫音「はぁ…まったく…。こうなったら君たちにお願いできるよね?僕は裏から指示出す」
梓白「バレちったなら仕方ない。いーよ、俺たちが行ってあげる。ね、花依斗。君も行くでしょ?」
花依斗「ああ、いいだろう」
雪音「俺は行かなくていいのか?」
梓白「お、雪も行く?多分戦闘ないよ」
雪音「お前たちが行くとなると意図せず戦闘ありそうだけどな」
花依斗「ほう?それはどういう意味だ?」
梓白「なんか俺たちがいつも暴れてるみたいじゃん」
紫音「暴れてるみたいじゃなくて実際暴れてんの。君たちが組むと“予定してなかったけど邪魔だったから組織潰してきちゃった☆”とか毎回やってるんだからね?」
梓白「俺たちだって毎回好きで組織潰してるんじゃないもーん。ねぇ?」
花依斗「存在する価値もないクソみたいな組織に出くわしたから潰しているまでだ」
雪音「まあ潰してくるのは毎回政府から目をつけられている組織だから結果的に問題はないがな」
紫音「こいつらが暴れたいだけなのに結果的に政府様に感謝されてんの毎回ちょっと気に入らないんだけど」
梓白「ふふん、俺たちの行いが積極的に治安回復に貢献してるってことでしょ。えらいえらい」
紫音「はぁ…ここに雪が入ったらもう誰も止められないよ」
雪音「1人1組織潰すというのはどうだろうか」
梓白「あ、おもしろそう。タイムアタックでもする?」
花依斗「ふん、悪くない」
紫音「ちょっと?依頼の主旨変わってるんですけど。君たちイケメン店員として潜入するんでしょ?」
梓白「そんなのさ、ちゃちゃっと終わらせてこの街に蔓延るわるーい組織、潰しに行こうよ」
雪音「そうだな、やはり戦闘の面白さに勝るものはない」
梓白「なんなら潜入は花依斗だけで行ってきたら?というかそんなん美形バディで行けばよくない?あ、俺の相棒も入れてキラッキラの美形トリオで行ってきてもいいよ?」
花依斗「お前たちだけ楽しいことをするつもりか?それに今回依頼を受けたのはお前だろ」
梓白「ふふーん、受けた人間の判断で担当者を変えていいというルールは忘れてしまったのかね?…なーんて。ちゃんと俺も行くよ」
雪音「俺たちで行って手早く終わらせればいい。紫音が完璧な指示を出してくれる」
花依斗「ふん、当然だ」
紫音「…てかこんな依頼で僕たち幹部をフルで使うなんて絶対もったいない」
梓白「いいのいいの。幹部なんて形だけだし。面白いことできた方がいいでしょ。ね?」
雪音「ふ、ああ、そうだな。お前が楽しめるならそれが一番だ」
紫音「ああもう…雪ってほんと梓白に甘い…」
花依斗「ふん、それにだ。幹部をこんなくだらない依頼で使えるんだ。世間はこの上なく平和だということだろ」
紫音「はいはい、そういうことにしといてあげる」
梓白「ふふ、平和じゃなくなったら俺たちは真っ先に戦闘が振られるんだから。楽しめるうちに楽しんでおこうよ」
雪音「ああ、そうだな」
紫音「はぁ、ほんと、君たち目的忘れないでよ?」
雪音「ああ、任せろ。目的は果たしてくる」
梓白「ふふ。ねぇ、花依斗?こういうときの雪が言う目的‘’は‘’果たしてくるってどういう意味か知ってる?」
花依斗「ふん。‘’手段は問わないが‘’目的は果たしてくる…だろ?」
梓白「ふふ、さすが我が何でも屋を束ねるリーダー様だよねぇ」
雪音「ふ、お褒めに預かり光栄だな」
紫音「…もう戦闘になっても絶対止めない」