花葉「う〜ん…」
紺碧「おい」
花葉「…」
紺碧「花葉」
花葉「!なんだ、紺碧ちゃんか。俺のこと呼ぶなんて珍しくね?」
紺碧「声かけたけど反応しなかったからだよ」
花葉「え、まじ?ごめん」
紺碧「…なんか悩んでんの?」
花葉「え?いやいや、俺は超元気!」
紺碧「…ほんとかよ」
花葉「ほんとほんと。ちょっと考え事してただけ」
紺碧「…その考えごとが悩みじゃねーの?って聞いてんだけど。お前すぐ1人でへこむじゃん」
花葉「紺碧ちゃんが俺のこと心配してくれてる…!」
紺碧「し、してねーよ!!!( ⸝⸝⸝⩌⤚⩌)」
花葉「照れんなって〜( -᷄֊-᷅ )でもありがとな、悩んでんのはほんとに俺のことじゃないからへーき」
紺碧「じゃあなんだよ?」
花葉「…雪ちゃんとしーちゃんってさ、前からあんなんだっけ?」
紺碧「…前って?」
花葉「俺たちがガキだった頃だよ。小、中学生くらい?…あのときとなんか違う気がする」
紺碧「そりゃ大人になったんだから変わるだろ。俺たちだって少なくとも変わってる」
花葉「いや、まあそうなんだけどさ、なんていうか、なーんか、違和感あるくらいガラッと変わったつーか…」
紺碧「…?」
花葉「…雪ちゃんってさ、前はいつも超ニコニコしてて、元気いっぱい!って感じだったじゃん?でもいきなりあんな大人っぽくなる?兄貴はちっちゃいときからあんなんだったよ」
紺碧「あんなんって…昔から口悪かったのか?」
花葉「あ、いや…w口悪いのは気づいたらそうなってたけど、なんていうか…寡黙?だったのは今と変わってない。…そんでさ、しーちゃんは超とおとなしかったじゃん?自分から話すような感じじゃなかった。いつも雪ちゃんの後ろをくっついてるような感じでさ。むしろ雪ちゃんがガンガンいくタイプだっじゃん」
紺碧「…」
花葉「…だけどさっき…何でも屋?のこと話してるときさ、主導権ほぼしーちゃんだったじゃん」
紺碧「それは紫音が始めたからじゃないのか?」
花葉「いや、リーダーが雪ちゃんだって言ってたし、雪ちゃんが始めたいって言ったとも聞いた。なら雪ちゃんが言うもんじゃないのか?」
紺碧「…てかお前よくそんな昔のこと覚えるな」
朱優「こいつ、記憶力だけはいいからな」
紺碧「朱優!いたのか」
花葉「記憶力“だけは”ってなんだよ!」
朱優「雪音と紫音の話か」
花葉「そ。てかお前ならなんか知ってそう。雪ちゃんたちが高校は離れたとこ行くって俺たちは関わらなくなっちゃったけどお前は関わってたんだろ?」
紺碧「朱優も何でも屋作る協力したって聞いたけど」
朱優「関わっていたと言っても紫音の連絡先を知っていただけだ。連絡自体はほとんど取っていなかった。紫音と実際会ったのも何でも屋のメンバーを集めるための手伝いをしてくれというの来てからだ。それ以前は関わっていない」
花葉「ふーん…」
朱優「お前、何でカード使ってんだよ」
花葉「朱優ってこういうとき嘘つきそーだから。特にしーちゃんのこと関わるとさ」
紺碧「で、結果は?」
花葉「嘘じゃねーな」
朱優「はぁ…だから言っただろ」
花葉「んー…じゃあさ、朱優はなんでだと思う?」
朱優「…何で、とは?」
花葉「さっきの話。お前も聞いてただろ。雪ちゃんとしーちゃんの性格が入れ替わってる話」
朱優「そんなこと知らん。本人に聞いた方が早いだろ」
紺碧「…今のは嘘?」
花葉「いや、カード使わなくてもわかる。これはほんとに知らないな」
朱優「お前はあの2人の何がそんなに気になる?」
花葉「時間が経ったとはいえ、性格が真逆になることなんてそうそうないだろ?だからあの2人はなんでそうなったのかなって」
紺碧「うーん…」
花葉「さすがに2人の存在自体を入れ替えた、なんてオカルトはあるわけないけどさ、あの2人、何かはあったんじゃないかなって思う」
朱優「お前はその真実を知りたい、と?」
花葉「いや、その真実を知ったらなんかタダじゃ済まない気がしてる」
朱優「…お前のそういう予感は当たるからそうかもな」
花葉「お前から見てさ、なんかあの2人変わったなってとこ、ない?」
朱優「…紫音は以前、あそこまで雪音に執着していなかったと思う」
花葉「昔から雪ちゃんの後ろくっついてたじゃん?」
朱優「あのときとは違う。今はもっと…こう…どこか歪んだものを感じる」
紺碧「…変わったのは紫音…ってことか?」
朱優「なんとも言えん。少なくとも紫音は変わっている。雪音は…むしろ今のが本来の姿なんじゃないか?」
紺碧「…今のが?」
朱優「ああ、俺たちが知っている頃の雪音は…なんだか不自然だった。…こいつが無理してるときみたいにな」
花葉「は、はぁ〜?お、俺は無理してるときなんてないですけど〜?」
紺碧「あ〜。ほんとはへこんでるくせに無理してるときのこいつな」
朱優「ふ、そうだ。前の雪音は常にその雰囲気を感じていた」
花葉「…朱優ってさ、前あんま雪ちゃんと関わってなかったじゃん?だから?」
朱優「無理してる人間に関わるとこっちまで疲れるからな」
紺碧「…朱優って子どものときから考え方が大人だよな」
花葉「さっき変わったのはしーちゃんって言ってたじゃん?じゃあ今はしーちゃんが無理してるってこと?」
朱優「あいつは変わった結果むしろ居心地いいんじゃないか?今の方がのびのびとしている気がする。前のあいつは常に何かに怯えているような感じだった」
紺碧「じゃあ結果的に2人にとってはプラスになったってことか?」
朱優「おそらくな」
花葉「んー、そうなのか…」
朱優「これで納得がいったか?」
花葉「ま、2人がそれでいいならいいのかもな。俺、今の雪ちゃんとしーちゃんも好きだし。みんな過去に何かしらはあるだろ、大なり小なりさ」
紺碧「じゃあお前もあんの?」
花葉「へ?俺は…なんもないよ」
朱優「何だ今の間は?」
紺碧「絶対あるだろ」
花葉「ないって別に。俺は今も昔も何も変わってない…何もな」
朱優「…」
梓白「あ、みーつけた」
花葉「梓白?」
梓白「君のこと探してたんだよ。さっき途中まで話した…俺に魔法教わりたいって話」
花葉「今いいの?」
梓白「だから君のこと探してたんだけど?それとも今はマズイ?」
花葉「俺は全然へーき!」
梓白「そ。じゃ、ちょっとお話しようか」
花葉「おっけー!」
梓白「ふふ、元気がよろしいね」
紺碧「なんか一気に顔明るくなったな」
朱優「…あいつはここから変わるんだろうな」