ぷれぜんと・ふぉー・ゆー!「うん。見てるよ。素敵なポシェットだね」
天が微笑むとモン天は一際表情を華やがせ、くるくるとその場で回り出した。その肩から下げられているスモーキーピンクのポシェットが動きに合わせてぱたぱた揺れる。
先日ちょうど似合いそうだとモン天に他ならぬ天がプレゼントしたものだが、いたくお気に召したらしく、どこに行くにしても必ず下げるようになった。それが家の中であってもである。
「……? モン天?」
それまで機嫌良くくるくる回っていたモン天がぴたりと動きを止める。そのまま静止すること数秒。
まさか自らの回転で酔ったのかと天が身を乗り出そうとしたところでモン天がいそいそとポシェットの中身を漁り出した。どうやら酔ったわけではないらしい。小さく安堵の息を吐いて天は浮かしかけた腰を下ろした。
じゃん!
そんな効果音が聞こえてきそうな勢いで短い手で何かを掲げている。
「………飴?」
まごうことなく飴玉である。いわゆるキャンディと言われたら多くの人が連想するであろう、包み紙がリボンの形をしたそれ。
それは天の記憶の限り、モン天が一番大好きな飴玉の筈だった。包装紙がきらきらしていて可愛いのと、何より美味しい。
天が不思議に思っているとモン天が両手で持ち直す。ずい、と天に差し出しているようだった。
「もしかしてボクにくれるの?」
確認すればニコーッと満面の笑みを向けられた。どうやら数日遅れのお礼の品らしい。したくてしたことだから気にしなくていいのに、と思う一方で、モン天にとってこのお礼がやりたくてやってることなのだったら素直に受け取るのが筋だろうとも思う。
「ありがとう。今度一緒にこの飴玉買いに行こうね」