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    suno_kabeuchi

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    suno_kabeuchi

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    twst夢/イデア・シュラウド
    突然ハンドケアを始めた謎を追う話

    ##twst夢_SS

    つまりそういう イデア先輩は意外と手先とケアがマメだと気づいたのは最近だ。毎日ではないにしても二、三日に一度は爪を整えている。理由を聞いたら。
    「大事なオルトのパーツを触るのに爪伸ばしっぱなしとかありえないんだが……爪先がコードに引っ掛かって万が一にも傷がつくとか無理すぎ」
     陰気にそんな返答をもらった。納得するしかなかった。ついでに「爪伸びるとキーボードも叩きづらいし」と補足されたので尚のこと。
     なので爪切り片手に軽快な音を立てている姿は割と見かける。けど、最近はそこに加えてハンドクリームまで増えているのでまたしても首を捻る羽目になってしまった。しかもそっちは恐らくもっと高頻度で。いつの間にか机の上に常駐しているハンドクリームが大容量のボトルサイズになって新登場してた時は目を疑った。顔面のケアは絶無のくせに。そのくせえげつない美肌してるくせに。世の中って不平等だし不条理だよね。
    「そういえばハンドクリーム習慣っていつからあったんですか?」
    「え? うーん………結構前から? 具体的な日付までは流石に覚えてないよ」
    「だから最近の先輩の手はもちすべしてるのか……なんだって突然?」
    「エッ」
     ごく普通の質問なのにイデア先輩は目に見えて動揺した。うろうろと落ち着きなく視線を辺りに彷徨わせ。ぎこちなく顔ごと視線を逸らされ。
    「……………………ちょっとでも君を傷つけるリスクを下げるため」
     聞こえるか聞こえないかギリギリの声量で告げられたそれに私は反応するのを忘れて固まってしまった。じわじわと頬と耳に熱が溜まっていく。なるほど。なるほど、なるほど。
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    suno_kabeuchi

    TRAININGtwst夢/イデア・シュラウド
    集中している間に髪と戯れられてるはなし
    待てができるいいこなので ゆらゆらとゆらめくサファイアブルーを見つめること数十分。幸いにしてプログラム生成に集中しているイデア先輩に気取られることもなく、私はじっくりとっくり拝ませてもらっている。
     ほう、と何度目かもわからない感嘆の息が漏れる。昼だろうが夜だろうが、常に薄暗いイデア先輩の部屋ではそのサファイアブルーが陽の下のそれよりも鮮やかに映る。彩度の高いそれは驚くほど瞼に焼き付いては目を伏せてもその名残で閉じた視界に青が散る。
     足首まである長いそれはいざ座ると殆どが背凭れと痩躯の間に隠れてしまうけれど、一筋二筋と零れ落ちるそれもある。カーペットに座っていたけれど、そろりそろりと近づいて音もなくそれに手を伸ばす。燃えているだけあって毛先こそ掴めはしないが、もう少し上の方であれば実体がある。指に絡ませてみれば鮮やかな青に照らされて私の肌が青褪めたように光を受ける。視線だけイデア先輩に向ける。足元にいる私に気づいた様子もなくブツブツと早口で何か捲し立てながらキーボードを叩いている。それに小さく笑みを零して指に絡ませたそれに唇を添える。殆ど何も感じないけれど、ほんのりと温かい気がした。
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