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    第一週・日曜日 サンドイッチ簡単そうだからって何も見ずに作ったらツナの油でべちゃべちゃになって、やっぱり人に聞いた方が良いってなるナギリさん。慢心してショボンとなったら良い。全盛期さんの成れの果てだから、こんな事もあるんじゃないかと…。



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     「サンドイッチの作り方を教わりたい?」「この前貰ったパンでサンドイッチを作ったが、上手くいかなかった。…頼む」真摯な態度。ナギリが頭を下げても料理を作りたい相手を思い出し、ゴウセツは心の中で(成長しましたね)と呟いた。「ええ、構いませんよ」了承と共に、(私も作る!)シュバッとコユキが右手を挙げて主張した。(具は、白いんげん豆とマンゴスチンとフグの白子が良いです!)調理スペースには既にコユキの言った食材が用意されている。その組み合わせで出来るモノはもはやゲテモノ料理でしかなく、ゴウセツはコユキの用意した材料を無視して、「ハムとタマゴとツナにしましょう」大変シンプルかつ無難な具材を提案した。
     再度、テキパキと各所から食料を用意する。「ナギリさん、タマゴを茹でて下さい。堅茹でにしますので十分程でお願いします」「分かった」小雪はキッチンタイマーを用意した。「ツナは油を切って使います。もしかして、前回の失敗はここだったのでは?」ナギリの目から鱗が落ちた。ゴウセツの言う通り、以前作ったツナのサンドイッチは何だかえらくべちゃべちゃになってしまっていたのだ。「ツナの油はプルタブを直角に立てて缶と同じくらいの大きさの入れ物の縁に引っ掛けて置きます。そうすると手を汚さずに油が切れますよ」「ほぅ…」「では次にキュウリを斜め薄切りにして下さい」ナギリが包丁を持つといとも簡単に薄切りのキュウリが出来上がった。「他にも、パンと同じ長さにしたキュウリをスライサーで切って塩コショウとワインビネガーに馴染ませたモノを使ったり、千切りにして塩で揉んだモノを使っても良いですね」トマトを切り、レタスをちぎる。手伝いをしたいコユキに食材を触らせない様にゴウセツとナギリは上手くディフェンスしながらパンに挟む具を作っていった。まだここでコユキの手に触れさせるわけにはいかないのだ。
     そうこうしていると茹で玉子のタイマーが鳴った。「冷水で良く冷やしてから殻を剥いてください。水か流水の中ですとやり易いですよ」ゴウセツのやり方で殻を剥くとこれから潰してしまうのが惜しい程つるんとした茹で玉子が現れた。「タマゴを半分に切って、黄身と白身に分けます。黄身はフォークで潰して、白身はみじん切りに。塩コショウで下味を付けてマヨネーズを和えます」同じ様に、油を切ったツナにも塩コショウとマヨネーズを和えて具材が出来上がった。
     「パンにバターを塗ります。塗るのはマーガリンでも良いですし、上からマスタードやワサビを塗っても美味しいですよ」ようやく食材に触れるとコユキは張り切ってパンにバターを塗っていく。しかし、何故かコユキの塗るバターはパンに触れた矢先から苺ジャムの様に赤く変色し、煮え立つマグマの様にごぽりと音を立てていた。
     「具は平らになるように塗り広げて下さい。タマゴにキュウリを乗せれば、ツナとタマゴは出来上がりです。軽く手で押さえて馴染ませましょう」二種類のサンドイッチが出来上がった。残るはハムサンド。「ハムは広げて並べるより、折りたたんだ方がボリューム感が出ます。マヨネーズ、トマト。レタスの上に具材を乗せると安定しないので最後に乗せて下さいね。これで完成です」本来なら、切り分けた時に見栄えが良くなるように具材の乗せ方を注意したり、出来上がったモノを布巾とラップで包んで冷蔵庫で寝かせたり、パンの耳を切ったりもするのだが賄いと言うことで省略された。 
     それでも流石にそのまま丸かじりは食べづらいので、正方形の食パンは半分の長方形に切られて皿の上に並べられた。仕上げにちょんと、パセリをそえる。(出来た!)少し遅れて、コユキも完成したらしい。その出来映えを見てみると───。(何で四角かった食パンが球体になっていて震えているんだ?!)何故か四角かった食パンが球体になっていて微震している。(これを切り分けて…)その物体に包丁を入れると、ガリッと岩でも砕いた様な耳障りな音が聞こえた。(今日は来てくれるかな…)退治人の集まるギルドへわざわざ足を運ぶ吸血鬼を思い出し顔を綻ばせるコユキ。「待ちなさい、コユキ! それを何処へ持っていくつもりです?!」(お父さんには関係ありません)「私が食べっ…食べ…ぐぅっ…!! 私が食べますから寄越しなさい!!」(い~や~で~す~)
     辻田は一番気になっていたツナサンドを食べた。油を切ったお陰でべちゃべちゃしておらず、マヨネーズとも良く絡んでしっかりした味わいになっている。前回作ったモノとは雲泥の差。なのにあの時カンタロウは不味そうな顔をせずに、『ナギリさんが失敗したと思った料理だって、俺にとっては大変美味しいご馳走です!!』と言い張って平らげた。だったらきっとこの作り方で作ったサンドイッチなら、もっと旨そうに食べるに違いない。
     もう一つのツナサンドを完食し、残りのサンドイッチは簡単にラップして冷蔵庫に片付けた。そろそろギルドの開店時間になる。ナギリは父娘喧嘩を尻目に表の看板を『OPEN』にするべくドアへ向かって歩いていった。



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     後日。「カンタロウ、サンドイッチが出来たぞ」「わぁ! いただきまあああす!!!!」ぱくん モグモグモ… 「ンッガッグッグッ?!!」カンタロウが頭を押さえてもがき苦しんだ。マスターにマスタードやワサビを塗ると美味しいと言われ、ナギリは多めのワサビを塗ったサンドイッチをカンタロウに食べさせたのだ。「なっ、ナギリさん、コレッ!!」涙目で訴える。「ヒヒッ。美味いか?」右手で頬杖を付きながら悪ふざけが成功して笑うナギリにカンタロウは、「ナギリさんっ!! 食べ物で遊ぶのはダメですよっ!!」と至極全うな注意をした。「俺は食べ物で遊んだんじゃない。お前で遊んだんだ」対して牙を見せ、ますます笑みを深くするナギリに、「ングゥ!!」カンタロウは心臓を押さえ床に蹲ったのだった。



     参考…FOODIE
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