窓いっぱいに広がった分厚い遮光カーテンのゆったり波打つひだが、一部だけ不揃いに身を寄せ合っているのが謎解きのヒントだった。
「ここにいたのかい」
「――あァ、モクマさん。なんだか、身体が火照ってしまって。すこし、夜風にあたろうかと……」
布をかき分けて重い掃き出し窓を開くと、期待通りに相棒はそこにいてくれてほっと胸を撫で下ろす。二階建てのセーフハウスのバルコニーは白いタイルが敷き詰められて広く、呼び声に首だけで振り向いた相棒は、鉄製の胸よりすこし低い場所にある手すりに身体をすっかりとあずけて……預けすぎて随分と前のめりに傾斜してしまっている。こっちを見た瞳も、声も、おなじくらいに骨のないぐにゃぐにゃの形をしていた。
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