※全て個人の見解です。
※ほぼ妄想で語っているものですので、変だな、違うなと思われたら読むのをやめてスルーして下さい。
33話 瀬田ちゃんについて
■瀬田ちゃんの性格とU12での振る舞いについて
綾瀬川を殴った桃吾に対して、あえてその事件のことに触れたいじり方(7話ケーサツが~)をしたり、綾瀬川の能力の高さについて誰も積極的には話題にしない中、わざと持ち上げるような言い方(31話綾瀬川先輩、など)をしたり、「みんなが直接は触れにくいけれど気にはしている話題について、ぎりぎりを攻めた冗談で自ら触れに行くことで、場の空気が澱むのを防いでいる」ように見える。
気になるけど直接聞くのも難しい、みたいな部分の、相手が不快になるかならないかのぎりぎりを攻められるスキルがあるっていうか。
なんでそんなことするかっていうと、やっぱり場の空気が変になるのが嫌だからってことだと思うんだけど、多分チーム全体のこととかを考えてるわけではなくって。
どっちかっていうと「自分が過ごしやすいような空気にするための努力」って感じに見える。
重苦しい空気の中じゃ軽口だって言えないし、そういう空気、瀬田ちゃんは苦手そうだなって。
でもそれがチームにとっても良い風に働いてると思う。
上手に茶化してくれる瀬田ちゃん、真面目で真摯な子が多いゆえに空気が重くなりがちなU12では貴重な存在だったんじゃないかな。
■31話、33話 綾瀬川に対して
31話「中卒か高卒でメジャー行くよ」「綾瀬川的にもそっちの方が絶対良さそうじゃん」
100%嘘ではないと思うんだけど、やっぱり根底に「できれば戦いたくない」「できれば自分たちと同じステージにいないでほしい」という思いはある気がする。
だからまあ、言えないけど「どっか行ってほしい」が本音ではあるんだよねきっと。
でも33話「話すと普通にいいやつじゃん」も心からの本音で、だから31話、33話の瀬田ちゃんて「これから野球を続けて勝っていくためには、綾瀬川がメジャーへ行ってくれた方がいいと思う気持ち」と、「綾瀬川自身が望まないであろう進路へ行ってほしいと思うことへの罪悪感」の間で揺れ動いてるんだと思う。
33話「見ててしんどかったよ…」「あんなプレーさせんの…かわいそうだって」も本心ではあるけども、どうしても「だから日本にいない方がいい」という結論へ向かう、そう自分を納得させたい、自分が綾瀬川をどこかへ行ってほしいとは思っていないと思いたい、そういう風に見える。
メジャーへ行くのが綾瀬川にとって一番いい、日本にいても酷使されて、かわいそうな使い方をされるだけだから、と、自分が綾瀬川にメジャーへ行ってほしいと思うのは決して「勝てないとか敵わないとかそういうのじゃなくて」、それが順当で、綾瀬川のためになるからだと思いたいんじゃないかな。
でも本当はきっと、綾瀬川がいたら勝てない、敵わないと思ってしまってる。
そんな風に思う自分を認めたくない。そう思ってたくさん言葉を使って椿に語ってみるけど、多分椿には瀬田ちゃんが今どんな思いでいるか全部わかってて。
だから「頑張ろうよ数馬」「結局それしかないって」って言われてしまう。
綾瀬川のことはいい経験だったと思うしかない、だって綾瀬川がこれからどこへ行って何をするかは、瀬田ちゃんがどうこうできるものではないから。
勝てなくても、敵わなくても、野球を続けたいなら頑張るしかない。
でも椿がそういう風に言えてしまうのは、やっぱりピッチャーじゃないからって、あると思う。
花房も円もそうだけど、瀬田ちゃんはピッチャーだから、これまで頑張ってきた全てが、積み上げてきた自信が、全部打ち砕かれて、勝てない、敵わないと思わされること自体が辛いんじゃないかな。
特に瀬田ちゃんは、並木監督が言う「俺が勝たせてやったんだ」と思えるタイプのピッチャーだと思うし(20話「オレだったら~」)
「俺が勝たせてやったんだ」と思えるということは、負けた時きっと「俺が勝たせてやれなかった」と思うんだろう。
今綾瀬川と当たったら、瀬田ちゃんはきっとチームを勝たせてやれない。
勝たせてやれるっていう自信がもう、持ててない。
■泣いた理由について
椿に「頑張ろうよ数馬」「結局それしかないって」と言われて、並木監督との会話を思い出す瀬田ちゃん。
11話で綾瀬川の後に投げて打たれない自信がなくて「オレが先に肘痛いって言ってたのに!!」って内心は逃げようとしてたけど、でも実際には何も言わなかった。
あのシーン、花房が逃げて自分しかいないってなった状況で、全然覚悟なんて決まっちゃいなかっただろうけど、それでももしあそこで監督に「次から瀬田でいく」って言われたら、きっと「はい」って言ったんだろうなと思うんだ。
自分しかいない状況で、逃げを選べる人じゃない気がする。(20話「花房お前左一人なのに~」も責任感の強さが見えるセリフ)
それを監督は見抜いてたから「今までも(今回も)そういう状況から逃げなかった」と評価してるし、さらに「逃げなかったからこそ、今日本代表にいるんじゃないのか」って、瀬田ちゃんのこれまでの頑張りも評価してくれてる。
今、綾瀬川には勝てない、敵わないと思って自信をなくして、綾瀬川が良いやつで、追い出すようなことを思っちゃいけないのがわかっているのに、メジャーに行ってほしい、同じステージにいないでほしいと思ってしまってることに罪悪感があって、あの時よりもっともっと自分が信じられなくなってる瀬田ちゃん。
その罪悪感から逃げたくて、たくさん言い訳並べて「綾瀬川的にもそっちの方が絶対良さそう」だと思い込もうとするけど、うまく開き直ることもできない。
綾瀬川から逃げたくて、綾瀬川を追い出すようなことを考えてる自分からも逃げたくて。
逃げることを正当化しようとしてる自分が情けなくて悔しくて。
だけど、そんな逃げることばかり考えてる自分でも「大丈夫」「もっと自分を信じていい」って思ってもらえてる。
「今までもそういう状況から逃げなかった」から、今回もきっと逃げないで頑張れるって、これまで頑張ってきた全てが無駄だったわけじゃないって、自分を信じてもいいのかなって。
これまで逃げずに頑張ってきたことを評価してもらって、それを思い出して、自分を誤魔化そうとしてた苦しさから解放されたっていうか。
勝てない敵わないって思う自分も、逃げたいって思う自分も、綾瀬川に罪悪感抱く自分も、許していいのかなと思えたっていうか。
それでほっとして、泣いちゃったんだと思った。
瀬田ちゃんて、ずるいこともやるし逃げも打つけど、開き直りきれるタイプでもないと思ってて。
全部きれいに忘れられるわけじゃなくて、心のどこかに「自分はずるをした」って引っかかったまま前に進む子なんじゃないかと思ってて。
その引っかかりを、監督の言葉がいくらか軽くしてくれたっていうか。
性格のところで重い問題も上手く茶化せるって書いたんだけど、このスキル多分自分にも使ってるんだと思う。
上手くいかないことがあっても上手に誤魔化したり、正当化できたりする。
だけど「オレは誤魔化した」ってちゃんと心に残ってて、その傷を抱えたままでいる子なんだろうなって。
監督の言葉は、心についた傷ごと「大丈夫、瀬田が思っている以上に、お前はちゃんと頑張れているよ」って優しく認めるものだったんじゃないかな。
瀬田ちゃんが認めきれなかった自分のこと、ちゃんと見てるよって言ってくれる人がいて、それを思い出して、泣いちゃったんじゃないかな、とか思いました。
ここまで読んでもらってありがとうございました!
もうちょっと上手く言語化したかったんですけど、かなりふわっとした感じになっちゃいました、すみません。
簡単に泣くタイプじゃなさそうな瀬田ちゃんの涙、心に来るなぁ……。