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    ※朝班のみんなが主任のメイドもやってます

    メイド朝班名前を呼ばれたような気がして、うっすらと目をあける。

    「おはよう」
    「んん……雪にぃ……?」
    「起きる時間だ、良い天気だぞ」

    黒のワンピースに白いエプロン、頭にヘッドドレスをのせた従兄でありメイドでもある雪風がカーテンをあける。薄暗かった部屋が白くなる。

    「今日は雪にぃなんだ」
    「可不可は起こしにいくのは毎日自分が良いと言っているが、平等にじゃんけんだ」

    まとめたカーテンから手を離した雪風がグーにした片手をこちらに向ける。
    毎日朝一番でじゃんけんをする雪風と可不可を想像するとほほえましいような気もするが、そんなことを言うと可不可が怒りそうなので心のうちにとどめておく。

    クローゼットから服を取り出す雪風をベッドに座ったままぼんやりと見ていると、ふと頭によぎることがあった。
    そういえば今日は雪風のスケート練習の日ではなかったか。

    「もしかして今から練習に行くの?」
    「あぁ」
    「そうなんだ……それなら、わざわざ制服に着替えて起こしにきてくれなくても良いのに」
    「お前を起こしにこれるのはメイドの特権だからな。練習の前にお前の顔がみれて良かった」

    服を手に持った雪風が近づいてくる。
    頭のてっぺんから足の先まできれいに整っている雪風と寝起きの自分。
    急に恥ずかしくなってきた。

    「じゃあ着替えを……」
    「あー!着替えは自分で出来るから!!雪にぃはもう練習に行く時間でしょ!?」


    ◆◆◆


    身支度を整えてから部屋をでると、廊下にメイドが3人。
    泣きそうな顔でうつむく練牙、眉間にしわを寄せて仁王立ちの礼光、練牙に寄り添うように立っている添。
    清々しい朝に似合わない、ぴりぴりした空気を感じる。

    「お前は掃除にいつまで時間をかけるつもりだ。時間内に終わらせるから任せろと言ったのは誰だ?」
    「う……」

    練牙はスカートをぎゅっと両手で握りしめ、他のメイドたちよりも短いスカートがさらに持ち上がる。
    練牙以外はくるぶしまであるロングスカートだが、比べると練牙のスカートだけ短い。
    最初は全員と同じ長さだったのだが、自分のスカートに足をひっかけて転ぶので可不可が特別に練牙用に作り直したのだった。

    「おい、スカートを持ち上げるな。見苦しい」
    「!わ、悪い……」

    なだめようと声をだしかけたところで、先に添がまぁまぁと声をあげた。

    「時間はかかるけど、そのぶん丁寧なんですよ。ね、練牙さん」
    「はぁ……俺たちメイドの仕事は細かなスケジュールと役割分担で成り立っている。1人でも乱すやつがいると全体に迷惑がかかるんだ」
    「俺の担当分は終わってるので残りは一緒にやりますよ。そこまで遅れは出ないはず。今日はそれでいいでしょ?ほら礼光さんも、主任の朝ごはん用意しないと」

    急に名前がでてきて驚きながら添を見ると、添はぱちりと片目をとじる。

    「あ……みなさん、おはようございます!えっと……お、お腹すいたなぁ!礼光さん!朝ごはんお願いします!!」

    眉間にしわを寄せたまま視線をこちらに向けた礼光にお腹がすいたことを必死にアピールすると、礼光は練牙たちに背を向けた。

    「しっかり終わらせておけ」
    「はーい」

    添がほどけかけていた練牙のエプロンの後ろ紐を結びなおしている。
    (練牙くん、大丈夫かな……)
    まだ残っているらしい掃除を自分も手伝いたいと思ったが、お腹がすいているアピールをしてしまった手前歩きだす礼光について行く。

    「じゃ、終わらせちゃいましょうか」
    「ごめん添……オレ……」
    「そんなにしょげないでくださいよ、練牙さんはちゃんと成長してますって。前より転ぶ回数も減って、掃除しながらより散らかして……なんてこと今日はないですもんね?」
    「……添、ありがとう……みててくれてるんだな、オレのこと」
    「あはは。そりゃそうですよ……友達でしょ?」


    ◆◆◆


    「あ、主任ちゃん、おはよう♪」
     
    食堂につくとすでに朝食が用意されていて、他のメンバーと同じメイド服をきた可不可がどうぞと椅子をひいた。

    「なかなか来ないから、向かえに行こうかと思ってたよ。はい、しっかり朝ごはん食べて、今日もよろしくね」
    「ありがとう。今日は可不可が用意してくれたの?」
    「そうだよ。朝起こしに行けなかったから、せめて朝ごはんは用意したくて。並べただけだけどね」

    一緒にここまで来たはずの礼光はもう居なくなっていた。
    (礼光さん、今日は可不可が朝ごはん用意してるってたぶん知ってたよね。それでも一緒に来てくれたんだ)

    「主任ちゃん?どうしたの?」
    「なんでもないよ」

    朝食を食べはじめると、視線をかんじる。
    顔をあげるとにこにことこちらを見ている可不可と目が合った。

    「そんなに見られると食べづらいよ」
    「ふふ、嬉しいんだ。主任ちゃんのお世話ができて」

    見られていると思うと気恥ずかしいが、可不可が嬉しそうなので良いとしよう。
    しばらくするとはぁと小さくため息がきこえた。

    「う~ん、残念。もう行かないと。じゃあまた後で、会社でね」

    にっこりと微笑んだ可不可はスカートをつかみきれいにお辞儀をすると食堂から出ていく。
    可不可の後ろ姿を見送って、朝食を再開する。
    みんなにお世話になっているぶん、自分も仕事で返そう!ごちそうさまでした。

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