里塚さんの手作り巾着の話楽譜を追っていた目に違和感を感じて、礼音はぱちぱちとまばたきをした。
空調の風で乾燥しているのかもしれない。
目薬を持っていたはず、とカバンからえんじ色の巾着を取り出したところで視線を感じ、そちらに顔を向けた。
今はスタジオ練の休憩中で、那由多と賢汰と涼は外にでている。
そのため、スタジオの中は礼音と深幸だけだ。
「なんだよ?」
「……なんか、礼音くんが巾着使ってるって、ギャップあるね」
「?」
「巾着なんて使ってるんだ、意外~っていう………良い意味だって!」
バカにしてるのか?と礼音の眉間にしわがよったのを見て深幸があわててフォローを入れる。
「巾着なんて久しぶりに見た、買ったの?」
「違う、賢汰さんに貰った。作ったって」
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