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    ni12_nnii12

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    ni12_nnii12

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    書いたやつ 2つ『礼音くんと涼くんとこたつ』

    コーヒーでも飲むか、とのびをする。 
    進みが悪くなっていた課題を置いてリビングに行くと涼さんとにゃんこたろうがこたつで寝ていた。
    からだに良くないからこたつで寝ないほうがいいと言っていた賢汰さんが頭に浮かぶ。
    ま、わざわざ起こさなくてもいいだろ。
    寝ている涼さんを横目に見ながらコーヒーを入れにキッチンに向かった。

    コーヒーを入れてリビングに戻ると相変わらず涼さんはすやすや眠っていて、さっきよりもこたつにもぐり込んで気持ち良さそうだ。
    のんきだなと思う。
    部屋で礼音を待っている課題のことを考えると足が重くなるが今日終わらせないとバンド練に集中出来ない。

    リビングから出たところで足を止める。
    やっぱり起こしたほうがいいのだろうか。
    風邪でもひかれたら後味が悪いし…。

    声をかけるだけかけるか、と再びリビングに戻るとそこで寝ていたはずの涼さんの姿がない。
    起きてリビングから出てきたのなら気づいたはずだし、キッチンの方にも居ないようだ。
    ……こたつの中にもぐってるのか?
    寒くなってきて、こたつが設置されたいつものリビング。なんだか違和感がある。
    リビングは静かで、自分1人しか居ないみたいだ。
    周りの静けさに妙に胸がざわついてきて手にもっていたコーヒーをこたつに置き、床に膝をついてこたつ布団の端をにぎる。
    「………涼さん…?」
    中をのぞきこむとこたつの真ん中でにゃんこたろうが丸くなっていて、




    『深幸さんと涼くんとお風呂場のアヒル』

    「深幸、申し訳ないが涼にシャワーを浴びせてやれないか?」

    浴室の扉を叩く軽い音と共に賢汰の声が聞こえた。
    聞こえた内容に思考が追い付くよりはやく扉が開き賢汰が顔をのぞかせる。

    「!?」

    湯船につかり脱力していたからだをあわてておこす。
    湯に浮かんでいたアヒルが大きく揺れた。
    見られて困るからだはしていないが気が抜けているところはあまり見られたくない。賢汰にはとくに。
    ていうかいきなり開けるか!?文句を言おうと思った瞬間賢汰の後ろからぬっと現れた涼をみて口から出た言葉が文句ではないものになる。

    「!どうしたの涼ちん」

    涼はずぶ濡れだった。
    髪や服からもぼたぼたと水滴をたらしている。

    「通り雨に降られたそうだ」
    「うん…びっくりしたよ」
    「1度シャワーを浴びせてから着替えさせたいと思ってな」
    「そうなんだ、大変だったね」
    「いいか?」
    「あぁシャワー?別にいいけど…」
    「ごめんね深幸くん」
    「俺は廊下を拭きにいくから深幸、頼んだぞ」

    申し訳なさそうに涼が浴室の中に入り、賢汰が扉をしめた。
    湯船につかる深幸と、濡れた服を脱ぎはじめる涼。
    つい了承してしまったが、普通に考えてかなりおかしい状況である。

    「え…っと涼ちん、じゃあ俺出るから、ゆっくりあったまりなよ」
    「ん?うん、ありがとう深幸くん、…ん~~?」

    頭から服を抜こうとしている涼から、服ごしにくぐもった声がきこえる。
    びしょびしょに濡れてからだに張り付いているせいもあるのか、脱ぎにくいらしい。

    スポッと服が抜けて、ぼさぼさになった頭と共に顔が出てきた。
    大丈夫そうだ。
    湯船から出ようと思った深幸だったのだが、ぐねぐね動いている涼をつい見守ってしまった。
    出るか…と立ち上がる。

    「涼ちんちょっとごめんね」

    入口付近に居る涼を奥にずらして脱衣所にでる。
    もう少しゆっくりしたかったが仕方がない。

    浴室からシャワーの音がきこえはじめた。
    からだを拭いて、服を着たところで涼の着替えがないことに気づく。

    「涼ちん!着替え持ってくるよ。部屋から適当に持ってきていい?」
    「うん、ありがと~」

    髪はまだ濡れていたが、乾かすのにそれなりに時間がかかるため、先に着替えを持ってくることにした。


    脱衣所に部屋から持って来た涼の服を置き、ドライヤーを手に取る。
    浴室からはふんふんと鼻歌がきこえていたが、ドライヤーのスイッチを入れると風の音で聞こえなくなった。

    ……よし、乾いたな。
    ドライヤーのスイッチを切ると、浴室から話声が聞こえた。

    「……うん…うん、そうなんだ。……オレは見たことあるよ」
     
    思わず耳を傾けてしまう。
    一瞬涼に話しかけられたのかと思ったが、違うようだ。

    「このお風呂の何倍も何倍も、比べられないぐらい大きいよ。とっても広くて…ずっと続いているように見えるんだ」

    独り言…?にしては変だ。
    誰かと話しているみたいな…。

    「太陽の光がきらきら反射して綺麗だったよ。君にも見てもらいたいなぁ…」

    深幸はドライヤーを手に持ったまま、完全に動きを止めてしまった。
    ほんとに誰かと話してる…?でも……。

    「うん、一緒に行けたらいいね。あ…でもオレ1人だとだめって言われるかも………そうだ、深幸くん!居る?」
    「!?っ……居るけど、どうした?」

    まさか話しかけられると思っていなかったので驚いた。あわてて返事をする。

    「深幸くん、時間がある時でいいんだけど、海まで連れていってくれないかな?」
    「え、海?」
    「アヒルくんがね、海が見てみたいんだって。だから連れていってあげたくて」

    いきなり話しかけられた動揺がまだおさまっていない。思考がうまく働かない。
    海を見たい……連れていって欲しい……アヒルくん……?

    アヒルが1匹、浴室にいる。
    いつからか浴室の住人になっていたアヒルのおもちゃ。
    ぷかぷか浮かぶ姿はなんともいえずかわいらしい。
    先ほど深幸が湯船につかっていた時もアヒルが浮いていた。
    アヒルくんとは、そのアヒル?

    「そ、………そうなんだ………」

    ごく、とつばを飲み込み。なんとか一言絞り出す。
    アヒルと話してたの?なんてとてもきけない。そうだと言われたらどうしたらいいのか。

    「えっ、と…海、だっけ?いいよ。車で行こうか」
    「ありがとう深幸くん!良かったねぇ」

    涼の嬉しそうな声が聞こえる。
    海に行きたいというバンドメンバーのお願いをきくぐらいなんてことない。
    海まで久しぶりにドライブ、いいかもな。
    俺と涼ちんと…………アヒルで?
    喉が乾いてきた深幸は、水を飲みにキッチンに向かった。


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