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    fzncomxxx

    @fzncomxxx

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    PROGRESS蟹を食べる斑零。卒業してからは仕事が絶えがちになる斑に、よく仕事を回してくれるようになった零とは何かと顔を合わせる機会が増えた。大半はソロでも問題ないもので実にありがたく感謝しつつも居心地の悪さは拭えないが。日頃のお礼も兼ねていたのだけれど。
     ニューディメンションの事務所内で蟹を広げながら、ひたすら実を剥いている。室内の換気は行き届いているため、生臭さもほとんど感じられなかった。解体を器用に行う斑の手つきに迷いはない。蟹の殻にキッチンばさみで切り込みを入れて、半分に割り開く。ばきっ、ばきんっ、べきょ。
    「いやあ零さんの予定が空いていて助かった! 俺だけでは消費しきれなかったのでとても助かる……ありがたや、ありがたや」
    「しかし、我輩だけで良かったのかえ? あの、桜河の子と分けても良かったのじゃぞ?」
    「こはくさんにも声は掛けたんだが、まぁ、その……旗色は良くなかったようだから困り果てていたところだ」

    「俺は実家でたくさん食べさせられたからなあ……黙々と身をほじくらないといけないのがとても苦痛だったのを覚えている」
     沈黙だけの空間に殻の割れる音を思い出しながら、蟹の脚をへし折る。ばきり。ばきん。ま 1089