あと一秒、待てばよかったかな?灰色の分厚い雲が空を覆い、太陽の光が遮られた戦場は重々しい空気が流れている。
黒く光る鋼鉄を纏った帝国の遺物が、制御を失いただただ破壊行為を続けていた。
機械音と無機質なモーター音に混ざり、まるで会話でもしているかのようなノイズの走った音があちらこちらから聞こえてくる。
そんな戦場でひときわ大きな魔導兵器を前に斧を振り回す存在がいた。
「ぐっ!」
自分の何倍もある巨体から鉄の塊が振り下ろされる。それを斧ひとつで受ける戦士ルディスは一歩も引くことなくその場にとどまり続ける。武器同士が激しく接触したことで火花が散り、魔導兵器はさらに押し込むようにぐぐっと前かがみの体制になった。
「な、めんなァ!!!」
一体その小さな体のどこにそんな力があるのか、全身を使ってルディスが押し返した途端、魔導兵器がバランスを崩し、その胸にあるコアが露になる。
1988