どうぞカフェランベルセへと先日滞在していたセーフハウスの近くには相棒好みのコーヒーを出す喫茶店がありふたりで頻繁に通っていた。セーフハウスへの滞在ということを考えれば行きつけの店など作らないほうが賢明だが、酒量を控えた相棒が口さみしいのかコーヒーを飲みたがり、また店内の居心地が良かったためにチェズレイも文句を言わずに同行していた。客がリラックスできるようにであろう薄暗い照明。隣り合う席が見えづらくなるよう設置されたボックスソファとパーテーション。ステンドグラスのはめ込まれた窓から陽光が落ち、クラシカルな内装に鮮やかな色が落ちる空間ができあがっていた。
こういった密談に適した場所では裏社会の取引が行われる可能性も高い。チェズレイは当初そういった警戒の意味でもこの店へ足を運んでいたが、探りを入れた結果そういった情報はなく、ただただ居心地の良い店だということが証明されるばかりであった。
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