【天桃+宇煉】魔法学校パロ 校長室へ向かうため早足で廊下を歩いていた桃寿郎は、突然、どんと背後から体重を感じたと同時に温かい何かに包まれた。
「わっ」
あきらかに何かが自分の背中にのしかかっているが、左右をきょろきょろとしても見えるのは自分の浅葱色のローブの肩や袖、白い石造りの廊下の壁や床ばかりだ。だが、覚えのある重みと、ほんのり鼻を掠めるミントとヴァーベナの甘く爽やかな香りに、桃寿郎は思い当たる人物の名を口にした。
「……天満?」
「わかった?」
何もない空間からにょっと現れた顔は精密な魔法で作られたように整っていて、銀の髪も睫毛もきらきらと輝いている。宇髄天満。この魔法学校の最上級生であり、桃寿郎にとっては五歳年上の先輩にあたる。魔法の実力は確かだが、魔法よりも自身の身体を操るほうが好きなのだと言って、マグルの世界で体操競技に興じている少々変わった男でもある。
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